<長寿研究への投資熱と豊富な資金を背景に、老化との戦いは飛躍的な進化を遂げている>

老化や多くの病気に関係する「老化細胞」を除去するというワクチンを日本の研究グループが開発した。論文は学術誌ネイチャー・エイジング(電子版)で10日、公開された。

ジャパンタイムズによれば、開発したのは順天堂大学大学院医学研究科の南野徹教授率いる研究グループ。ワクチンを投与されたマウスは、加齢と共に蓄積される老化細胞(関節炎や動脈硬化といった病気と関連がある)が減ったという。

南野は「(ワクチンの)動脈硬化や糖尿病といった老化に関係する病気の治療への応用が期待できる」と語ったという。

老化細胞は時間の経過とともに細胞分裂を停止したが死滅していない細胞と定義され、有害な化学物質を放出して正常な細胞にダメージを与え、炎症を引き起こす。新たに開発されたワクチンが作り出す抗体はこの老化細胞に取り付き、(それを目印に)白血球によって除去するという。

ワクチンを接種したマウスは未接種のマウスに比べ、加齢による身体機能の低下がゆっくりになった。また、このワクチンは既存の老化細胞除去薬よりも副作用が少なく、効果も長続きするという。

老化に対する治療や対策は、多くの専門家が研究している分野だ。老化プロセスを遅らせたり加齢関連疾患を治療する方法の開発には、多くの資金が集まっている。

<H4>世界の研究者と投資家が注目する分野

「長寿(研究)への資金拠出に関心を持っている人は驚くほど多い」と、イェシバ大学医学部老化研究所のニア・バージライ所長は本誌に語った。「ものすごい金額が集まっている」

バイオテクノロジー企業のアルカヘストは2011〜14年にかけ、若いマウスの血液を老いたマウスに投与すると脳の健康が大きく改善するとの研究を複数発表。以来、血液中のたんぱく質の中から老化治療に使える可能性のあるものが約8000も見つかっている。

今年、アルカヘストは血漿製剤メーカーのグリフォルスに1億4600万ドルで買収された。両社はアルツハイマー病やパーキンソン病など老化と関係したさまざまな病気や症状の改善を目指す治療法の開発を続けており、これまでに第2相の臨床試験までこぎ着けたものが6つある。

もっとも専門家の中には、加齢関連疾患は科学と医療の進歩によってこの100年ほどの間に人間の寿命が急激に伸びたことの当然の結果だと考える向きもある。

「進化論的な見地から言えば、われわれ人類はそれほど長く生きるようにはできていなかったということだ」と語るのは、コロンビア大学医療センター遺伝発達学部長のジェラード・カーセンティだ。「老化は人類の発明品だ。人類以外の動物で自分の体、つまり自然をうまくだましおおせた種は1つもない。ゾウは100年生きるかも知れないが、100万年前から寿命は変わっていない。人類は自分の体の裏をかいたわけだ」

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