習近平と李克強が権力闘争をしているという主張は、中国政治の仕組みや真相を知らないチャイナ・ウォッチャーによって次から次へと新しく捏造されていくので、日本の国益のために歯止めをかけなければならない。

ここでは「習近平vs.李克強の権力闘争」という夢物語_その1でお約束した通り、「その1」の後半部分として、「3と4」に関してご説明する。

3.習近平主催の企業家座談会に李克強がいなかったことについて

今年7月21日に習近平国家主席が主催した企業家座談会に李克強国務院総理(首相)は出席していなかった。この座談会には9人の企業家や専門家らが出席し、また汪洋や韓正など一部の中共中央政治局常務委員が同席している。

日本の一部のチャイナ・ウォッチャーは、これを以て、「習近平による李克強外しが決定的となった」と燥(はしゃ)ぎまくっている。

それなら、前政権であった胡錦涛時代の座談会ではどうだったのかを見てみよう。

たとえば2007年2月14日に当時の胡錦濤国家主席が主催した「党外人士迎春座談会」には当時の温家宝国務院総理(首相)は出席していないが、当時の他の中共中央政治局常務委員の一部だけが出席している。

また、2011年1月31日に胡錦涛が主催した「迎春座談会」にも温家宝は出席しておらず、中共中央政治局常務委員の一部だけが出席している。ついでに申し上げるなら当時国家副主席だった習近平や国務院副総理だった李克強さえ出席しているというのに、国務院総理である温家宝は出生していないのである。

両方とも、今年7月21日に習近平が開催した企業家座談会と同じ構成だ。

すなわち、オシドリ夫婦のような「胡錦涛―温家宝」ペアでも、「党外人士」のような、つまり「党員幹部」だけの集まりではないような座談会を国家主席が主催する場合は、一般に国務院総理は出席しないのである。

これは中国建国以来の中国政治の習わしだからだ。

権力闘争論者は、胡錦涛政権の事例を以て「権力闘争だ」と主張できるだろうか?

できないはずだ。

朱鎔基も出席しなかった