メアリーは才能のある書き手であり、正義や公正、真実を犠牲にして空っぽな男を王様に仕立てた一族の生き証人であり、その一族の犠牲者でもある。

メアリーには、今さらドナルドを非難する気はない。そんな話は、彼の近くにいた人間なら誰でも書けるだろう。しかし彼女の本が類書と比べて際立つのは、彼女が(親族でありながら)ドナルドの近くにいなかった点に由来する。

メアリーの父は祖父の遺産を相続できず、トランプ一族から追放された。だから彼女は何らかの理由で離れたのではなく、初めからドナルド帝国の外にいた。だからこそドナルドに近づき、その帝国に入り込み、やがて離れられなくなった人たちの醜態がよく見える。彼らはなぜ、ドナルドの肥大したエゴを守るために嘘をつき続けるのか。自分たちの壮大な誤りを認めたくないからだ。

<本誌2020年8月4日号掲載>

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