動画公開、大統領の意図は

公開された閣議でのジョコ・ウィドド大統領の演説は、政府の感染対策に不満を抱いて一刻も早い規制や制限の「全面解除」を求める国民に対して大きなインパクトを与える効果を狙った、との見方が有力だ。

あまり例のない閣議の動画公開、激しい口調ながらも手にした原稿を見ながらのジョコ・ウィドド大統領の演説には「パフォーマンス」としての側面もあり、一向に収まらないコロナ感染拡大の現状に「大統領は閣僚と思いを一つにしてここまで懸命に、真剣に取り組もうとしている」というメッセージを国民に伝えることが眼目だったとみられている。

また29日付けの主要紙「コンパス」は、政策研究機関の政治評論家ブルハヌディン・ムフタディ氏による「この演説はジョコ・ウィドド大統領が思い描いている内閣改造を断行するための下地ならしである」との見方を伝えた。

第2期政権への批判で内閣改造も?

同氏はさらに「動画公開はその内閣改造への国民の反応をみる観測気球のようなものともいえるだろう」として、今後タイミングをみて大統領が内閣改造に踏み切る可能性に言及した。

2019年10月に発足したジョコ・ウィドド大統領第2期目の内閣は、与党各政党への大臣ポスト割り当てや国家警察、国軍の元高級幹部を多く登用したり、若干35歳の若手ビジネスマンを抜擢したりするなど話題満載だったが、各閣僚の政権発足後の実績という点では国会やマスコミから辛口評価の閣僚が少なからず含まれているのも事実。

そこへ降って沸いたコロナ禍だが、保健相や財務相、経済、投資関係の閣僚らがコロナ対策などで多忙を極めるのとは対照的に、コロナ対策による活動自粛や制限強化に乗じて仕事に積極性や意欲を見せない閣僚やコロナ禍以前と変わらない仕事内容、ペースの閣僚にジョコ・ウィドド大統領は内閣改造のタイミングを計っているとの観測もでていた。

そういう意味でジョコ・ウィドド大統領は今後国民やマスコミ、各政党などの反応を見極めながら内閣改造を実行することで、コロナ対策のさらなる強化徹底と評価の低い閣僚を入れ替えて政権基盤を強化するという「一石二鳥」を視野に入れているものとの見方が有力になっている。

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[執筆者] 大塚智彦(ジャーナリスト) PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など

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[映像] 「火のような激しい演説」するジョコ・ウィドド大統領