隔離施設の状態も問題を深刻にしている。3月16日に首都デリーから30キロ程に位置する都市グルグラムの病院から女性が逃げ出し、私立病院に入院した。この女性は最近マレーシアから帰国したばかりで、検査で陽性が確認されていた。3月13日には、中西部の都市ナグプルの病院から感染が疑われる5人が逃亡。うち3人は見つかって病院に連れ戻された。さらに3月17日にはドバイからの帰国者11人がマハラシュトラ州の病院から脱出した。地元メディアによれば、現在は警察官が隔離病棟の警護に当たっている。

隔離施設の改善を求めて、インターネット上で署名運動も起きている。始めたのは、アメリカの大学で学び、交換留学プログラムでスペインに留学していたレア・バラ。スペインで感染が広がり、全土が封鎖されたため、インドに帰国し、空港到着後すぐに隔離された。施設の衛生状態は劣悪で、スタッフに「囚人のような」扱いを受けたという。

バラの母親は娘が送ってきた施設の画像をツイッターに上げて、改善を訴えた。当初は「文句を言うな」と嫌がらせも受けたが、すぐに同様の思いを抱いている人たちから励ましのコメントが寄せられた。

水も食べ物もない

匿名を条件に本誌の取材に応じたバラの母親は、娘が隔離されること自体はやむを得ないと思っていると話した。「感染防止が必要なことは理解している。誰であれ、感染が疑われる人には出歩いてほしくない」

「娘は空港でも酷い扱いを受けたが、そのくらいは我慢しなさいと言って聞かせた」と、母親は言う。問題はその後だ。「娘は施設の内部を写した画像を送ってきて、頼むからここから出して、と電話で泣きながら訴えた。飲料水も食べ物もなく、不衛生きわまりない。トイレも水が出ない、と」

「飲料水をくださいとスタッフに訴えると、水道の水を飲めと言われた。水道水を飲めば、病気になることはこの国では常識だ。娘と一緒に隔離された学生たちはみんな、あまりに酷い扱いに怒り狂っている」

スタッフは隔離された学生を「汚いもの」のように扱い、自分たちに近づくなと命令し、近づいたら刑務所行きだと脅した。母親がツイッターでこうした状況を訴えると、当初は「嘘つき」「非国民」などと罵るコメントが殺到した。

「でも、すぐにほかの学生たちの家族が、あなたの言っていることは嘘ではない、うちの子も同じことを訴えていると言ってきた。その人たちも、炎上を覚悟で、ツイッターで次々に実態を訴え始めた」

政府も実態調査を開始