ルーニーは翌日、来年の選挙には立候補しないと発表した。この一件は、今の共和党が「もはや共和党ではなくトランプ党」であることを如実に示していると、政治学者のサバトは指摘する。

共和党議員のジレンマ

議会とホワイトハウスの複数の関係者によれば、マコネルは既に「何度か」、弾劾裁判のことで大統領と直接話している。彼は大統領の弾劾を難しくする今の仕組みに反対はしていない。

またマコネルは複数の事実についての解釈を基に、上院でトランプに有罪判決が下る可能性はほとんどないと考えており、それをトランプ本人にも伝えたという。

トランプは果たして有罪と判断されるだろうか。共和党の上院スタッフに尋ねると、「これ以上の新たな事実が出てこなければ、確実に無罪になる」というお決まりの答えが返ってきた。

彼らにとって重要なのは、最終的にウクライナはアメリカから軍事支援を受けたし、同国政府はバイデン親子の捜査に乗り出さなかったという事実だ。つまり、トランプが介入した疑惑があっても、結果はない。

「これが大統領の弾劾を正当化する重大な違反行為だとする主張はばかげている」というリンゼー・グラム上院議員の言葉が、今の共和党の考え方を象徴している。ただしトランプのことだから、これから何が出てくるかは「誰にも分からない」。この点は共和党の関係者(もちろん匿名を条件に)も認めている。

弾劾の行方は流動的だ。政治のプロの予測どおりに運ぶ保証はどこにもない。勝利に不可欠な激戦州でトランプの支持率が下がれば、たぶん共和党は浮き足立つ。

改選を控える共和党上院議員たちはホワイトハウスに出向き、大統領に辞職を迫るかもしれない。弾劾裁判の評決でどちらに投票したかの記録が残る事態は避けたいからだ。求心力の下がった大統領を担いだまま来年11月の選挙で上院の多数を維持することは難しいと考えるかもしれない。

ただし今のところ、トランプは共和党員の間で圧倒的な支持を得ている。だからトランプ降ろしは考えにくい。もしトランプを辞めさせれば、彼の支持者は怒り狂い、共和党の擁立した別の大統領候補には投票しないだろう。

そう考えれば、たとえ上院で弾劾裁判をやったとしても共和党からの造反は少数にとどまり、トランプは無傷で執務室に復帰する可能性が高い。1999年のビル・クリントンがそうだったように。

ただし一寸先は闇だ。トランプは2016年の選挙で政界の常識も予想も全て覆した。弾劾裁判でも同じことが起きる可能性はある。

<2019年12月3日号掲載>

【参考記事】弾劾で追い込まれたトランプが再選を投げ出す?

【参考記事】トランプは「無能=無罪」が共和党の言い訳(パックン)

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