Miho Uranaka
[東京 30日 ロイター] - 米金融大手ゴールドマン・サックスは、日本企業によるM&A(合併・買収)や設備投資の拡大を背景に、プライベートクレジット(ノンバンク融資)市場の成長余地が大きいとの見方を示した。約3000億円の融資実行を決めており、金利上昇や銀行の融資余力低下などを背景に、企業向け融資の需要は今後さらに高まるとみている。
ゴールドマン・サックス証券の投資銀行部門共同部門長の高鍋鉄兵氏は29日にグループの資産運用会社が都内で開催したイベントで、企業によるM&AやAI(人工知能)、データセンター関連を中心とした設備投資が拡大する一方、銀行融資や社債市場だけでは資金需要を十分に賄いにくくなっていると指摘。「銀行がクレジット市場を支配してきた日本でも、足元では流動性の環境に変化が起きている」と述べた。
同社のアセット・マネジメント部門共同統括兼クレジット投資部長のニーラブ・マートゥル氏は、金利上昇によって投資妙味も高まっていると説明。今年からダイレクトレンディング(直接融資)と言われるシニアの日本円建てのLBO(レバレッジド・バイアウト)向け融資の提供も始めた。「2年前はグローバル投資家が求める利回りに達していなかったが、現在は日本市場への関心が大きく高まっている」と語った。
アポロやブラックストーン、KKRなど海外勢も日本で体制整備を進め、市場参入が相次いでいる。ゴールドマンは、過去2年間で、実行済み案件と今後のクローズ予定案件を合わせて日本で約3000億円の融資を手掛けたと明らかにした。
マートゥル氏は、同社の強みについて、投資銀行部門(IBD)を擁し、有望案件の発掘や企業との関係構築を早い段階から進められる点を挙げた。案件組成力や情報力を背景に投資機会を幅広く検討できることが、プライベートクレジットで重要なリスク管理や投資先選別につながっていると説明した。
機関投資家の需要も堅調だ。GSの決算資料によると、同社のプライベートクレジット関連ファンドは26年1─9月に570億ドル(約9兆円)を調達し、過去最高水準の資金流入となっている。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの堤健朗社長は、長期金利の上昇やインフレ定着により、投資家は名目リターンではなく実質リターンを重視した資産運用への転換を迫られていると指摘。オルタナティブ投資への関心が高まっており、同社が主催する「オルタナティブ・サミット ジャパン」は今年で4回目を迎え、機関投資家を中心に過去最多となる200人以上が登録したという。