Maria Cheng Bart H. Meijer

[モントリオール(カナダ) 29日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は29日、 カナダをEU初の「準加盟国(associate member)」として受け入れる構想について、EUとカナダは引き続き検討していると述べた。この構想についてはEU加盟国間で見解が分かれており、今回のEU・カナダ首脳会合の共同声明には盛り込まれないと見られている。

EUとカナダは29─30日の日程でカナダ東部モントリオールで首脳会合を開催。フォンデアライエン氏は「われわれの考えはシンプルだ。加盟ではなく連携(association)だ。これまでにないほど加盟に近いパートナーシップを構築する」とし、EUとカナダは人工知能(AI)、気候変動、エネルギー、安全保障分野を含むあらゆる分野で協力を一段と深化させることを目指していると述べた。

フォンデアライエン氏はこのほか、EUとカナダは北極圏の安全保障分野で協力を一段と深める必要があると指摘。「ロシアが北極圏で軍事的プレゼンスを再構築し、近隣諸国に対するハイブリッド戦略を進めていることで、北極圏の安全保障環境の変容を目の当たりにしている。こうしたことにEUとカナダは共に影響を受ける」とし、「われわれは行動を起こし、戦略的態勢を見直さなければならない。カナダのように価値観を共有するパートナーと共に、こうした価値観を守らなければならない」と語った。

EUのコスタ大統領は、カナダの「準加盟国」構想について「大胆な発想」とした上で、フォンデアライエン氏の構想に賛同を示した。

カナダのカーニー首相は記者団に対し、EUとの新たな関係を表す名称自体は重要ではないとし、「重要なのはカナダとEUが持つ補完性でそれぞれの主権と戦略的自律性を強化することだ。重要鉱物、エネルギー、AIなどの分野で協力を深めることに意義がある」と語った。

カナダをEUの「準加盟国」とする構想については、フォンデアライエン氏が9月16日に行った欧州議会での一般教書演説で表明。カナダのカーニー首相はその翌日に行った欧州議会での演説で、同構想を歓迎し、米国と中国が支配する世界で市場、民主主義、法の支配を守るため、カナダと欧州が連携を強化すべきと述べていた。

ただ、EUの「準加盟国」という用語には法的な意味はなく、ドイツをはじめとする複数のEU加盟国が反対。ロイターが入手したEU・カナダ首脳会合の共同声明の草案によると、「EU準加盟」という表現は使わず、「これまで以上に緊密な連携(ever closer association)」を目指すことで一致したとするにとどめ、カナダとEUの関係を定義する作業を来年に開かれる次回のEU・カナダ首脳会合まで続けると表明するとみられている。

トロント大学マンク国際問題研究所のマーク・マンガー教授は、カナダとEUはトランプ米大統領がもたらした地政学的な脅威に対し効果的な対応策を模索していると指摘。「カナダとEUはともに、最も重要な同盟国として頼ってきた相手が同盟国のように振る舞わなくなったという状況に置かれている」とし、カナダとEUには関係を大幅に拡大する大きな機会があると述べた。ただ、実現には時間がかかるとの見方を示した。

カーニー首相はこの日は欧州の企業幹部らとの会合に出席した後、EU首脳を招いた夕食会を主催。共同声明は30日に発表される。

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