[フランクフルト 29日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は29日、政策金利を据え置くと決定した。据え置きは予想通り。ただ、エネルギー価格の急騰を受けてインフレリスクが高まっていると警告し、12月の利上げの可能性に含みを残した。今回の決定に先立ち、ラガルドECB総裁は早期退任を表明した。

ラガルド総裁の理事会後の記者会見での発言は以下の通り。

<2月の退任について>

任期満了の2027年10月ではなく、2月に前倒しで退任する理由は、同僚や職員、各国中銀総裁に伝えた通り、発言の自由、表現の自由、そして活動に関わる自由を得たいからだ。

今、欧州だけでなく世界のさまざまな地域で、私が大切にしている原則を守るために、私の声や行動が役に立つと思う。中立であり続けられるとは思わない。今、中立の立場に安んじることはできない。そして、私は真実を重視しているが、事実をゆがめた説明によって真実が傷つけられ、否定されることが非常に多いと感じている。

<退任まで職責を全う>

2月7日までは私が指揮を執り、職務に集中し、一切手を抜かず、言い訳もせずに働くので、安心してほしい。

<ECBの組織運営と退任>

ECBの組織運営の堅固さは実証されていると思う。過去にもトップの交代はあった。業務の継続性は、この組織が常に重視してきた原則だ。

この原則が損なわれたことは一度もない。中期的な2%の物価目標達成に向け、使命に集中し、断固として行動し続けるという原則は、今後も守られると確信している。

<無秩序な市場変動への対応手段>

正当な理由のない無秩序な市場変動などによって、金融政策の効果が円滑に波及することが脅かされる場合、われわれには対応する手段がある。その適用基準や条件は周知の通りだ。

<金利決定についての補足>

今、利上げしてもよいのではないかという趣旨の意見もあった。ただ、議論の結果、追加情報を待つ余裕が十分にあるとの判断で全会一致した。

今後数週間で豊富な情報やデータが得られる。これは特に基調的なインフレを判断する上で重要になる。ショックの影響が進むにつれ、基調的なインフレ指標から得られる情報はより有益になる。

<利上げを巡る議論>

政策理事会は利上げが適切かどうかを議論した。ただ、不確実性が積み重なり、高まっていることに加え、基調的なインフレがおおむね変わっていないことを踏まえ、現段階では据え置きを選択する余裕が十分にあり、慎重な対応が引き続き適切だと全会一致で判断した。

<インフレの二次的影響>

現時点では、(9月の)予測に既に織り込まれているものを超える二次的影響のリスクは見られない。今のところ、二次的影響の重大なリスクは認められない。

<金融環境の引き締まり>

前回会合以降、金融環境は引き締まった。金利は全般的に上昇し、株価は下落した。(中略)最新の銀行融資調査によると、第3・四半期には企業向け融資の審査基準が厳格化した。銀行は融資先が直面する経済的リスクへの懸念を理由に挙げている。在庫や運転資金の調達需要は増えたものの、特に金利上昇を反映し、企業の借り入れ需要は減少した。

<エネルギー価格>

エネルギー価格は、9月のECBスタッフ予測の基本シナリオで想定した水準を上回って上昇している。このため、短期的にはインフレ率がさらに上昇し、今後数四半期にわたり総合インフレ率が目標を大幅に上回る状態が続く可能性が高い。

<成長に下振れリスク>

成長見通しに対するリスクは下振れ方向に傾いている。これは特に、中東紛争と、ロシアによるウクライナに対する正当化できない戦争の動向によるものだ。一方、インフレ見通しに対するリスクは上振れ方向に傾いている。

<中期的なインフレ>

短期のインフレ期待は上昇しているが、長期のインフレ期待を示す指標の大半は2%前後にとどまっており、中期的にインフレ率が目標付近で安定することを支えている。

<基調的なインフレ>

基調的なインフレを示す指標はおおむね安定している。ただ、価格形成過程の上流段階では上昇圧力が示されている。

<当面の経済見通し>

足元のデータは、ユーロ圏経済が2026年第3・四半期も拡大を続けたことを示唆している。サービス業は中東紛争の勃発時に弱含んだ後、回復している。製造業、デジタルサービス、輸出は、人工知能(AI)関連の企業投資の恩恵を受けている。インフラや防衛への政府支出も経済活動を支えている。これらの要因は、当面の成長を引き続き下支えするはずだ。

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