<「責任ある積極財政」を掲げる高市政権の経済政策に対する評価は?>
高市政権発足から1年が経過した。本稿では現時点での筆者の視点で、経済政策に対する評価を述べさせていただきたい。
政権発足にあたって、経済閣僚の司令塔である財務大臣に片山さつき氏、経済財政担当大臣に城内実氏を任命し、「責任ある積極財政」の実現を命じたことで、一定程度政策は進展した。
まず、2025年末には、すでに役割を終えたと位置付けられる「ガソリンの暫定税率」の廃止を実現した(約1.5兆円減税)。2026年分から所得税の課税最低限を178万円に引き上げるなどの「年収の壁対策」も実施した(約0.66兆円減税)。
これらは事実上の恒久減税であり、国民民主党などの主張に高市政権が応じる形で「物価高対策」として実現した。その政策効果もあり、2026年から実質賃金はようやくプラスに転じた。
また、2026年2月に食料品の消費税率を0%にすることを公約に掲げて総選挙で勝利し、8月の閣議では、2027年4月から食料品の消費税率を1%に引き下げることなどが決定された。これにより、年間約5兆円規模(GDP対比0.8%)の減税が始まる見込みだ。
消費減税は2029年4月までの時限措置で、給付付き税額控除制度が実現するまでの、家計所得支援策と位置づけられている。
また、「経済財政運営と改革の基本方針2026」(いわゆる骨太の方針)では、単年度のプライマリーバランスに代えて政府債務GDP比率の低下を目標に定め、経済成長と財政規律の双方を実現する姿勢が確認された。同時に、年末の大型補正予算を取りやめ、当初予算を中心に財政支出全体を適切に管理する枠組みに変更された。