Andy Sullivan

[ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は、11月3日の中間選挙を前に、数百万人の米国民に対する総額数十億ドル規模の直接給付を相次いで打ち出している。中間選挙では、与党共和党が連邦議会上下院の多数派を維持できるかどうかが焦点だ。

トランプ氏が最近表明した給付・支援措置は次の通り。

◎農家向けに80億ドル

トランプ氏は19日に中西部カンザス州で開いた選挙集会で、秋の収穫期における軽油価格の高騰を補うため、農家に対して総額80億ドルの一時金を支給すると表明した。米農務省によると、支給額は今年の「推計損失」の一部を穴埋めする計算式に基づいて決定される。

軽油は農業やトラック輸送で広く使われているが、トランプ政権が2月にイランとの戦争に踏み切って以降、価格は38%上昇した。カンザス州や同じ中西部アイオワ州など共和党支持の強い農業州では、野党民主党上院候補が燃料高への有権者の不満を追い風に接戦へ持ち込んでいる。

◎高齢者向けに90ドル

トランプ氏は2日、米高齢者向け公的医療保険制度「メディケア」のパートB加入者2080万人に対し、1人当たり90ドルを支給すると発表した。ホワイトハウスの説明では、医療費負担の上昇を和らげることが目的で、財源には制度改善のために設けられた20億ドルの基金を活用する。

ただ、メディケア加入者7060万人全員が対象となるわけではない。パートB保険料を公費で負担されている低所得者や、追加保険料を支払う高所得者、民間運営の「メディケア・アドバンテージ」加入者は対象外。パートBの標準保険料は月額202.90ドルだ。

高齢者は中間選挙の投票率が高く、政治的影響力も大きい層。トランプ氏は2024年大統領選で約束した高齢者向け減税を、昨年成立した「ワン・ビッグ・ビューティフル法(減税や歳出項目の組み替えを柱とする包括法)」に盛り込んでおり、今回の給付もその流れに位置付けられる。

◎オバマケア利用者の一部に500ドル

政権はまた、医療保険制度「オバマケア」に基づく保険市場のうち、連邦政府運営の保険加入サイト「ヘルスケア・ドット・ガブ」を通じて保険を購入している約95万人に対し、500ドルを支給している。対象者は、共和党主導の議会が補助金制度の延長を認めなかったため、25年末以降に保険料の大幅な値上がりに直面した人々が多くを占める。

ホワイトハウスは、この支給をバイデン前大統領政権下で設定された過大な手数料の払い戻しと説明している。

もっともこの給付もオバマケア利用者約1900万人全員が受け取れるわけではない。補助金を受けている加入者や、独自の保険市場を運営する20州の住民は対象外となる。

ロイターが政府データを分析したところ、給付対象者の約71%は、上院選や州知事選が接戦となっている州に居住している。

◎不正通報者向けに2500万ドル

トランプ氏は20日、政府プログラムの不正を通報した人に最大3万ドルの報奨金を支払う内部告発者制度を発表した。司法省は、この制度の総事業費が2500万ドルになるとの見通しを示した。

◎全成人への5000ドル給付構想

トランプ氏は9月9日、共和党が中間選挙後も議会多数派を維持した場合、全ての成人市民に5000ドルを支給する考えを明らかにした。実現には約1兆2000億ドルが必要で、これは連邦予算のおよそ16%に相当する。この構想実施には議会承認が不可欠だが、議会内でほとんど支持を集めていない。

◎アラスカ州のインフラ整備

トランプ政権は5日、北部アラスカ州の送電網整備に向けて新たに1億5000万ドルを拠出すると発表した。この日にはバンス副大統領が、再選を目指す共和党のダン・サリバン上院議員を支援するため同州で選挙活動を行っていた。

その前週にはアラスカ州で液化天然ガス(LNG)パイプラインを建設する計画も発表されたものの、バンス氏は計画の詳細については今後詰める必要があるとしている。

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