Andrea Shalal David Lawder Jan Strupczewski
[バンコク 17日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)の運営委員会、国際通貨金融委員会(IMFC)の議長を務めるサウジアラビアのジャドアーン財務相は17日、世界経済は高い回復力を示しているものの「油断する余地はない」と警告した。一方ロシアのウクライナ侵攻を巡る対立により、IMFC会合ではロシアのシルアノフ財務相の発言中に多くの国の代表団が退席する場面があった。
ジャドアーン氏は、バンコクで開かれたIMF・世界銀行年次総会の閉幕記者会見で、戦争やエネルギー・食料安全保障への脅威、高水準の公的債務、人工知能(AI)の急速な発展に伴うリスクなど、深刻な課題が続いていると指摘した。その上で「IMFCメンバーのメッセージは明確だ。油断する余地はない」と述べた。
各国の財政当局に対しては、社会的に脆弱な層の保護や成長促進投資を維持しながら財政余力の再構築を進めるよう求めた。中央銀行の独立性維持や民間主導の成長・投資を支える政策の重要性も強調した。
さらに戦争やエネルギー価格高騰の波及により短期的な資金繰り難に直面する国々への支援拡大を呼びかけ「過度な世界的不均衡や貿易摩擦への対応には国際協力が不可欠だ」と訴えた。
IMFのゲオルギエワ専務理事は会合が実りあるものだったと評価する一方、加盟国の間で経済格差拡大への不安が強まっているとの認識を表明。AI関連の価値連鎖に参加していない低所得国では、取り残されることへの懸念が広がっていると指摘した。
これらの発言に先立ち、IMFC会合ではロシアのシルアノフ財務相がロシア語で演説した際、多数の代表団が退席した。ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁は関連行事で、出席者の約半数が退席したと明らかにするとともに「ロシアへの明確なメッセージだ。ウクライナに対する根拠のない侵略戦争が終結することが世界経済にとって最善だ」と語った。
ウクライナ国立銀行(中央銀行)のピシュニー総裁はロイターに、多数の財務当局者が退席したことに驚いたとした上で「深く感情を揺さぶられる瞬間だった」と述べた。
関係者によると、退席した代表団には英国、ドイツ、フランス、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、リトアニア、ラトビア、エストニアなどが含まれた。欧州の外交筋は「ウクライナ戦争は欧州にとって存亡に関わる問題だ。ロシアとの関係正常化はできない」と言い切った。
これに対して米財務省のブラウン次官補は、議長国を務める米国がロシアの20カ国・地域(G20)参加を支持していると説明。「危機を解決するには対話が必要であり、対話なくして紛争解決はできない」と述べた。