Andrea Shalal

[バンコク 15日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長は15日、地政学的な変化やウクライナ、中東での戦争が世界の貿易ルートに持続的影響を及ぼすとの見方を示した。企業が将来の混乱に備えてサプライチェーンや輸送網の多様化を進めているためだ。国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の会場でロイターのインタビューに応じた。

オコンジョイウェアラ氏は、イランでの戦争の影響で中東の貿易が大きく落ち込んだと指摘。さまざまな代替策が講じられているものの、貿易の回復には時間を要するだけでなく、一部の変化は恒久的なものになり得ると述べた。WTOは、中東地域の輸出が今年17%減少し、輸入も約15%減少すると予測している。

民間の専門家らは、戦争終結後にホルムズ海峡の通航が再開されれば、より低コストな輸送ルートとして同海峡経由の貿易が回復すると見込む。

しかしオコンジョイウェアラ氏は、度重なる紛争によって、企業や各国が貿易ルートの分散化や緊急時対応計画の必要性を認識しており、一部の代替ルートは今後も利用され続けると主張。「世界はボトルネックとなる地点や資産について考えなければならない状況にある。各国や企業は不測の事態に備えたいと考えており、一部の代替手段は定着するだろう」と語った。

また戦争や貿易混乱に加え、トランプ米大統領による大規模な関税措置など相次ぐショックを受け、企業のサプライチェーン再編が進んでいると指摘した。

オコンジョイウェアラ氏は「サプライチェーンが再構築されていることは間違いない」と述べ、企業はコスト増を伴いながらも新たな輸送ルートの確保に取り組んでいると説明した上で「地政学的な観点から合理的であるため、こうした取り組みの一部は今後も続く」と言い切った。

一方で同氏は、地域内貿易の拡大も進むとの見通しを明らかにして、アフリカについては、域内取引を拡大することで成長と雇用創出を大きく押し上げることができると強調した。

同氏によると、アフリカ域内貿易はアフリカ全体の貿易の約20%にとどまる一方、欧州連合(EU)では域内貿易が全体の約60%を占めている。

WTOは先週、世界の商品貿易見通しを上方修正した。人工知能(AI)関連製品への需要が、中東情勢悪化による混乱の影響を一部相殺しているためで、今年の世界の商品貿易量の伸び率は3.9%になると予測。3月時点の基本シナリオで示した1.9%から引き上げた。

ただオコンジョイウェアラ氏は、紛争や関税措置のほかにAIブームが失速または崩壊する可能性もあり、先行きには不確実性が残るとくぎを刺した。「AIの影響が、貿易における他のネガティブな傾向を覆い隠している」という。

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