[12日 ロイター] - 中国の人工知能(AI)新興企業ムーンショットAI(月之暗面)の経営幹部らが、香港市場での新規株式公開(IPO)計画を前に、株主との法的紛争の解決に向けて協議していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。株主側は幹部らに不正行為があったとして補償を求めている。
ロイターが確認した3月11日付の書簡によると、AIソフトウエア開発企業リカレントAIとその一部投資家は、ムーンショットのヤン・ジーリン最高経営責任者(CEO)とチャン・ユータオ最高技術責任者(CTO)が、リカレントの投資家に虚偽の説明をし、リカレントを犠牲にして個人的な利益を得たと主張している。書簡はリカレントの弁護士らがムーンショットの投資家に送ったもの。
企業登記によると、ヤン氏とチャン氏は2016年にリカレントを共同創業した後、23年にムーンショットを設立した。両氏は現在もリカレントの持ち株会社の取締役を務めている。和解協議について報じられるのは初めて。
ロイターは書簡の主張の正確性を独自に確認できなかった。書簡にはリカレントの投資家の名前は記されていない。
ヤン氏とチャン氏は電子メールでのコメント要請に回答しなかった。ヤン氏は以前、疑惑を否定している。ムーンショットはコメントを控えた。
両氏とムーンショットの代理人を務める法律事務所ミンターエリソンのシニアパートナー、デービッド・モリソン氏は24年11月、中国メディアに対し、この申し立ては「法的根拠も事実関係上の根拠も欠いている」と述べ、争う方針を示した。
ロイターは、チャン氏が疑惑について公にコメントしたことがあるかどうか確認できなかった。
リカレントは電子メールでのコメント要請に回答しなかった。
リカレントはムーンショットの設立時に、当初の株式の9.5%を取得した。関係者の1人によると、リカレントとその投資家は、ムーンショットの当初の株式の10.5%に相当する補償を求めている。6月の資金調達時の企業評価額300億ドルに基づくと、補償額は7億ドルを超える可能性があるという。