David Lawder
[バンコク 13日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は13日、2026年の世界経済成長率が3.1%になるとの見通しを示し、7月時点の予測値3.0%から上方修正した。堅調なAI(人工知能)関連投資が中東戦争に伴うエネルギーショックを相殺するとしつつ、下振れリスクが高まっているとも警告した。
「世界経済見通し」の予測は、4月に示された最も楽観的なシナリオとほぼ同水準だが、25年の世界経済成長率3.5%からは減速する。
27年については3.4%と予測しており、これは7月時点からは変わらず、4月の予測からは0.2ポイント上方修正された。
今回の小幅な上方修正は、AIプラットフォームを構築する主要先進国や、特に韓国、マレーシア、メキシコ、タイを含め、AIハードウエアを供給する国々の成長見通しが上方修正されたことが要因となっている。
IMFの新チーフエコノミスト、シルバナ・テンレイロ氏は記者団に「世界経済は強靭性を示してきたが、それは試練にさらされており、成長に対するリスクは下方に傾いている」と指摘。「中東紛争が長期化すれば、インフレにさらなる圧力がかかり、成長が鈍化する可能性がある。財政見通しの悪化、AIの収益性に対する再評価、そして異常気象も見通しをさらに弱める恐れがある」と述べた。
IMF調査局のペティア・コエバ・ブルックス副局長はロイターとのインタビューで、各国や企業は原油価格ショックを緩和するため、備蓄の取り崩し、他の供給元やエネルギー源への切り替え、石油需要の削減といった措置を迅速に講じたと指摘。こうした措置がなければ今年の世界の成長率は2.5%まで低下していたはずだが、戦争が長期化するにつれてその効果は薄れつつあると語った。
IMFはまた、AIの恩恵を受ける国々と、その恩恵を受けられない国々との間の格差が拡大していることに言及。現在、世界全体の成長の95%を占めるのはわずか32カ国で、4月時点では54カ国だった。
イラン戦争の直接的な影響を受けた湾岸諸国には下方修正が広がっており、サウジアラビアの今年のGDP(国内総生産)は、7月に予測された1.7%のプラス成長から、3.3%のマイナス成長へと見直された。
イラン、イラク、クウェート、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)も深刻な景気後退に陥ると予想されており、26年のGDPはそれぞれ7.6%、16%、16.7%、15.6%、3.9%の縮小となる見込みだ。
<米国は横ばい、欧州は改善>
主要経済を見ると、IMFは米国の26年および27年の成長率をいずれも2.3%と予測。今年は据え置き、来年は0.1ポイント上方修正された。米国経済は、堅調な民間消費、減税、AI投資によって支えられると見込まれるが、AIによる押し上げ効果は、その輸入依存度の高さによって相殺されそうだ。
ユーロ圏の26年の成長率見通しは、AIへの投資拡大、ドイツの化学製品生産などAIバリューチェーンへの参画、EU(欧州連合)諸国における防衛費の増加を背景に、7月時点の0.9%から1.1%へと上方修正された。英国の見通しも、7月時点から0.3ポイント上方修正され、1.3%となった。
中国の成長率は26年が4.5%、27年が4.0%となる見込み。いずれも7月時点の予測から0.1ポイント下方修正された。輸出は堅調であるものの、原油価格の上昇が国内需要の低迷をさらに悪化させているため。
インドは、堅調な内需、サービス業の活動、AI投資を背景に、26年と27年ともに7.0%の成長率を維持し、世界でもっとも成長の速い主要経済国であり続ける見通し。7月の予測と比較して、今年は0.6ポイント、来年は0.3ポイントの上方修正となる。
AI投資の急増は物価に上昇圧力をかけ続けると見込まれており、世界の総合消費者物価上昇率は26年に4.7%、27年に4.1%になると予測されている。
IMFはまた、特に先進国における公的債務水準の高さが、借入コストの急上昇リスクを高め、成長見通しに重くのしかかる恐れがあると警告。各国政府に対し、財政バッファーを再構築するための措置を先送りすることをやめ、債務を持続可能な水準に戻すための信頼性の高い中期計画を明確に示すよう強く求めた。