[ベルリン 12日 ロイター] - ドイツ中道左派・社会民主党(SPD)共同党首のバス労働相は12日、義理の娘の死去や自身に対する政治的攻撃の激化を理由に、両職を突然辞任した。地方選の敗北で痛手を受けているメルツ連立政権にとって、さらなる打撃となる。
バス氏は声明で「義理の娘の死を受けて、深い悲しみと向き合う時間が必要だと気付いた」と述べた。さらに連立パートナーであるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の保守派議員などからの「公の攻撃」が増加していたとも指摘した。
後任の労働相には、西部ラインラント・プファルツ州の前首相、アレクサンダー・シュバイツァー氏が就く。共同党首の後任は明らかになっていない。バス氏は連邦議会議員にはとどまる意向を示した。SPDは年末の臨時党大会で執行部全体の改選を行う。
閣僚1人の辞任で政権全体が揺らぐとは見込まれていないものの、ドイツが直面する混乱が浮き彫りになった。
経済の先行き不透明感や生活費への不満を背景に、メルツ政権の支持率は低迷。9月に東部で行われた州議会選で極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が勝利して以降、メルツ連立政権への圧力が一段と強まっている。
バス氏が率いていた労働省はドイツの社会保障制度の大部分を所管する。メルツ氏の保守政党、キリスト教民主同盟(CDU)の一部からは、バス氏が経済改革を妨げているとの批判が繰り返されていた。
SPDの共同党首であるクリングバイル副首相兼財務相は声明で「喪に服していたここ数日間の彼女に対する攻撃は不適切だった。受け入れられない」と述べた。財務省は、クリングバイル氏がこの日出発予定だったインド訪問を取りやめると発表した。
メルツ氏は、Xへの投稿で、バス氏の決断は尊重されるべきだと述べ、同氏の献身と緊密な協力に感謝の意を示した。
またメルツ氏は記者会見で、「われわれは変革への意欲を示したい。選挙結果を踏まえれば、それは不可欠だ」と述べた。新労働相となるシュバイツァー氏が懸案の法案を速やかに前進させ、政府内で円滑に協力すると確信しているとも語った。
連立を組む両勢力は、高齢化が進む中で年金制度を支える改革や、エネルギー価格の急上昇と中国との競争激化に直面する産業界を支援する改革が必要だとの認識では一致している。ただ、意見の隔たりはなお大きい。