Makini Brice Janis Laizans

[パリ 7日 ロイター] - フランス政府は7日、高校生らによる抗議活動への警備で使用していたスタングレネード(閃光手りゅう弾)の使用を一時停止すると発表した。北部ランスで今週、15歳の若者が機動隊との衝突で片手を失う重傷を負ったことを受け、警察の過剰な実力行使だとの非難が高まったことが背景にある。

ヌニェス内相は、ランスで発生した若者の負傷事故について、スタングレネードが原因である可能性が高いとして使用停止を指示した。「事実関係が明らかになるまで、高校生の抗議活動では使用を停止する」と述べた。また内相によると、警察監察機関にはこれまでに計18件の事案が調査のため付託されている。

抗議活動は収束の気配を見せておらず、前日に続いて全国で500校超が閉鎖された。高校生や教員、労働者を代表する組合は8日に追加デモを計画している。一連の抗議活動は2週間以上続いており、6カ月後に予定される大統領選を前に、マクロン大統領に対する国民の不満の広がりが浮き彫りになった。

ジェフライ教育相は議会で、放火や破壊行為によって24校の高校が深刻な被害を受け、数週間にわたり閉鎖を余儀なくされると説明した。約3万人の生徒が対面授業を受けられない状況になるという。同相は復旧費用について2000万-3000万ユーロ(2200万-3400万ドル)に上るとの見通しを示した。

ルコルニュ首相は7日夜の国民向け演説で、生徒側の要求を精査した上で、教員確保や校舎改修などに関する提案を10月末に公表すると表明したものの、具体策には言及しなかった。首相は「過去には実現不可能な約束が数多くなされてきた。必要なのは具体的で迅速かつ財源が確保された対応だ」と述べた。ただ即時対応が示されなかったことから、抗議活動の沈静化につながる公算は乏しそうだ。

パリ中心部のリセ・ラマルティーヌ高校では、生徒らが校門を封鎖し、国歌を歌いながら抗議を続けた。生徒らは老朽化校舎や教員不足、授業の欠員など教育環境の悪化を問題視し、公教育全体の改善を求めている。

同じパリ中心部のシアンス・ポ大学前では、ごみ箱で築かれたバリケード周辺で警察が催涙ガスを使用し、参加者を排除。人権団体や労働組合、学生、一部野党勢力は、警察が抗議活動の鎮圧に過度な力を行使していると批判している。

抗議参加者からは、教育環境の悪化がフランスの若者の学力低下につながっているとの意見が出ている。経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)によると、フランスの15歳の読解力スコアは2025年に2015年比で43ポイント低下し、OECD加盟国の中で最大の下落幅で、数学の成績も同様に大きく低下した。

もっとも政府は低成長下で財政赤字の抑制を迫られており、教員不足や老朽化した校舎、地域間格差の是正に充てる余力資金は限られている。

世論調査で首位に立つ極右政党、国民連合(RN)の大統領候補マリーヌ・ルペン氏は、学校に損害を与えた者が修理費を負担すべきだと主張した。政府も同様の立場で、加害者負担制度の創設を目指す法案を議会で審議している。

BFMテレビ向けのエラブ調査によると、フランス国民の72%が学生側の要求を正当と考える一方、55%は抗議活動を終結させるべきだと回答した。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。