グーグルが実現したと発表した「量子超越性」とは
量子優位性と聞くと、1つの事象を指している印象を受けるかもしれないが、学界には多くの論争がある。なかでも今なお議論の的となっているのが、2019年10月にグーグルが実現したと発表した「量子超越性」だ。グーグル独自の量子ビットを54個搭載する量子プロセッサ「シカモア」に乱数をつくる計算問題をさせたところ、世界最速のスーパーコンピューターでも1万年かかる(とグーグルが主張する)ところを、3分20秒で解いたというのだ。
これに対して、IBMはすぐさま反論を発表した。既存のスーパーコンピューターの能力に関するグーグルの想定は大間違いで、きちんと最適化すれば1万年でなく2日半で解けると指摘した。またグーグルが選んだ課題は、従来のコンピューターには解きにくいように設計されている上に、実用的な価値がないことも明白だった。
一方、古典的な計算方法がもはや進化しないという証明がない限り、優位性も超越性も受け入れないという研究者たちもいた。この「不可能性の証明」と、グーグルに代表される「ゆがめられたベンチマーク」の間に位置するのが、今年発表された一連の研究結果だ。
そこに共通するのは、誰かが既に金を払って解こうとしている問題を解き、既存の最高の方法を凌駕し、しかもクラウドの量子コンピューターを借りれば誰でも同じ結果を再現できるようにすること(つまり検証可能にすること)だ。
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