実用化は今年から?
量子で動くコンピューターに何ができるのか。科学者はその可能性を長いこと追い求めてきた。
それが今、理論から実用の世界へ移りつつある。現実世界での活用は、もはや想像上の話ではない。高速の磁気浮上式鉄道から、GPSに依存しない量子航法システム、性能の高いバッテリーや製造過程で環境負荷の少ない肥料、患者一人一人に合わせた医薬品、竜巻についての正確な予測まで範囲は広い。
この技術の最前線にいる人々は、実用化が本当に始まるのは今年だと言う。「役に立つ量子コンピューティングは、今まさにここにある」と、IBMの研究部門を率いるジェイ・ガンベッタはこの春、ボストンの満員の会議場で語った。
1981年5月、マサチューセッツ工科大学(MIT)とIBMが共催した計算物理学の会議で、会場を埋めたコンピューター科学者たちを前に話し始めたのは、物理学者のリチャード・ファインマンだった。
あなたがたのやり方は間違っていると、ファインマンは言った。世界が実際にどう動いているかを理解したいなら、古典的なデジタルマシンでは絶対に十分ではない、世界は1と0で動いているわけではないからだ、と彼は主張した。「自然は古典じゃないんだよ。自然をシミュレーションしたければ、量子力学的にやらないとだめだ」
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