Kane Wu Makiko Yamazaki

[東京 6日 ロイター] - フジ・メディア・ホールディングス(フジHD)が進める中核不動産子会社サンケイビルの売却を巡り、米国のブラックストーン、ベイン・キャピタル、ウォーバーグ・ピンカスなどが最終入札の準備を進めていることが分かった。事情に詳しい複数の関係者がロイターに明らかにした。負債を含めた取引額は1兆円規模に達する可能性があり、実現すれば不動産業界における国内最大級の買収案件となる。

3社のほか、カナダの保険大手サンライフ傘下の不動産投資ファンドであるBGOが準備を進めている。10月末までに拘束力のある最終提案を提出する方向という。関係者らは、情報が非公開であることを理由に匿名を条件に語った。

フジHDは提案内容を精査し、優先交渉先を選定。提案内容について株主の承認を求める見通しだという。

フジHDはロイターに対し、外部資本導入の方法などに関する詳細は「企業価値および株主共同の利益の最大化の観点から検討中」とし、「公表する必要のある事項が決定され次第、適時適切に開示する」と回答した。ブラックストーンとウォーバーグ・ピンカス、ベイン・キャピタルはコメントを控えた。BGOからは現時点で回答を得られていない。

一方、フジHDの一部株主からは取引プロセスの透明性向上を求める声も上がっている。

ロイターが確認した9月30日付の書簡によると、シンガポールの投資ファンド、ヴァサンタ・マスターファンドは、清水賢治社長宛てに、サンケイビル資産の評価額や取引スキーム、一部売却やスピンオフ、資産ごとの段階的売却といった代替案の検討や、売却資金の使途などについて、より詳細な情報開示を求めた。

同ファンドはまた、不動産ポートフォリオの規模が大きく資産内容も多岐にわたるため、買収候補者が一部の大手プライベートエクイティ(PE)ファンドに限定される恐れがあると指摘。フジHDの既存株主へ還元される価値が十分確保されない可能性があると主張した。ヴァサンタの保有比率は1%未満。

<日本の不動産、世界から注目>

世界の投資家の間で日本の不動産市場への関心は高まっている。物件調査会社などによると、オフィス需要の底堅さや訪日観光客の増加、海外資本への開放性、円安などを背景に、日本は世界で最も注目される不動産投資市場の一つとなっている。

LSEGのデータによると、日本の不動産資産を対象としたM&A(合併・買収) 取引額は10月5日時点で155億ドル(約2兆4500億円)となり、前年同期比45%増加。2013年以来の高水準となっている。

フジHDは、米アクティビストファンドのダルトン・インベストメンツや、旧村上ファンド系の投資家らから、不動産資産の売却や政策保有株の解消を通じた資本効率改善を要求されていた。

また、著名タレントを巡る不祥事をきっかけに広告主の離反が相次ぎ、複数の経営幹部が退任。取締役会の刷新も迫られるなど、経営陣への圧力は一段と強まった。

フジHDは今年2月、発行済み株式のおよそ30%に当たる約2350億円規模の自社株買いを実施。アクティビスト投資家などから株式を取得した。併せて、サンケイビルを含む不動産事業の見直しに着手すると発表。不動産事業への外部資本導入や売却を通じて、メディア・コンテンツ事業への投資を拡大し、資本効率の向上を目指している。

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