Leo Marchandon
[1日 ロイター] - フランス国有のスーパーコンピューター大手ブルは1日、同国西部アンジェで設備増強を終えた工場を再稼働した。同社幹部がロイターに明らかにした。生産能力を倍増し、人工知能(AI)の計算基盤強化を進める欧州の需要に対応する。
欧州連合(EU)は2021-27年にスーパーコンピューター網の整備に70億ユーロ(78億7000万ドル)を投じる計画で、米国や中国との計算能力の格差縮小を目指している。ブルによると、アンジェ工場は欧州でスーパーコンピューターの製造に特化した唯一の工場という。
ブルのエマニュエル・ルルー最高経営責任者(CEO)は、今年の受注件数が過去最多になったと説明。EUと加盟国が共同でスーパーコンピューター網に資金を拠出する「ユーロHPC」が実施した18件の入札のうち、15件を獲得したとしている。入札では米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE) などと競合した。
欧州航空機大手エアバス は今年、フランス南部トゥールーズとドイツ北部ハンブルクで、ブルが構築したスーパーコンピューターを稼働させた。5年間で1億ユーロ近い契約で、エアバスのシミュレーション能力は従来の3倍になった。
クラウド事業者のOVHクラウド と、欧州委員会の支援を受けるドミンは、ブルが構築したスーパーコンピューター「ジュピター」を利用し、最先端級のAIモデルの学習を試みている。このほかにも複数の企業が利用しているが、ブルは社名を明らかにしていない。
アンジェ工場の増強には8000万ユーロを投じた。生産能力は従来の月6ラックから12ラックに倍増しており、需要に応じて27年には月24ラックまで引き上げることができるという。
フランス政府がブルに発注したスーパーコンピューター「アリス・ルコック」は94ラックで構成され、フィンランド向けの「LUMI-AI」と並行して組み立てている。フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)向けの「アリス・ルコック」は年末から段階的に納入する予定だ。「LUMI-AI」は3億8800万ユーロの案件で、ブルにとって過去最大の契約。工場増強前の生産能力では、両システムを同時に製造することはできなかった。
アンジェ工場では、米エヌビディア 、米AMD 、米インテル のプロセッサーのほか、顧客の要望に応じて欧州製部品を使用する。製造中のシステムに占める欧州製部品の比率は現在70%で、5年前の20-30%から上昇した。