Amanda Stephenson
[フォートマクマレー(カナダ・アルバータ州) 1日 ロイター] - カナダのカーニー首相は1日、西海岸への原油輸出を目的とする新たなパイプライン「パシフィック・リンク」の承認手続きを迅速化すると表明した。政府によると、計画が実現すれば年間20億カナダドル(140億米ドル)を超える国内総生産(GDP)押し上げ効果が見込まれる。
パイプライン計画は7月に発表された。トランプ米政権による関税措置の影響を抑えるため、米国への経済的な依存を減らし、輸出先を多様化するカーニー政権の戦略の柱となる。
カーニー氏はアルバータ州のオイルサンド産業の中心地フォートマクマレーで記者団に、政府がパシフィック・リンクを「国益に関わるプロジェクト」に正式指定し、連邦政府の規制審査を一本化すると説明。2027年9月1日までに審査を完了することを目指すとしている。
またカーニー氏は、西海岸へのパイプライン建設は「今後10年間で米国以外への輸出を倍増させ、世界的なエネルギー大国としての潜在力を最大限に引き出す」という経済構造転換の一環だと強調した。
計画するパイプラインの輸送能力は日量100万バレル。政府の試算では14万人の雇用を創出するほか、年間200億カナダドル超のGDP押し上げ効果があり、60年までに1000億カナダドルの歳入をもたらすという。
カナダで現在、東西を結ぶ原油輸出パイプラインは日量89万バレルの「トランス・マウンテン」のみで、24年に拡張工事が完了したが、既に輸送能力の上限に達している。
長年にわたってカナダは、原油輸出の90%超をパイプライン経由で米国に送ってきた。ただ中東での紛争を受け、アジアの主要輸入国が中東以外からの原油調達を模索する中で、新パイプラインが完成すれば、カナダが世界の主要なエネルギー供給国となる可能性がある。
もっとも新パイプラインの輸送能力を満たすには、オイルサンドの生産拡大が不可欠になるが、カナダでは過去10年余り企業による同種の大規模な新規開発は行われていない。
パイプラインは政府所有のトランス・マウンテンが、ペンビナ・パイプラインと連携して建設。アルバータ州政府は建設費を352億─437億カナダドルと見積もっている。
連邦政府とアルバータ州政府が主要株主となる予定で、先住民コミュニティーには最低10%の持ち分を取得する機会を提供する。カナダでは過去の石油パイプライン計画が環境保護団体や先住民の強い反対に直面し、一部が中止されたほか建設費の膨張や工期の遅れにつながった例もあるため、カーニー氏は今回の計画について先住民との「幅広い」協議を実施すると表明した。