※近年、激動の国際情勢を表現する語彙は、かつてないスピードで更新され続けています。Tech RightからCognitive Warfare、活人感、AI Slopまで――。ウェブ特集「いくつ知ってる? 世界を読み解くキーワード」では、その背景にある文脈とともに解説します。

Economic Coercion(経済的威圧)

政治目的を達成するために、経済的な依存関係を利用してモノの輸出入などに制限を課すこと。

中国による2010年の日本へのレアアース輸出制限や、20年のオーストラリア産牛肉の輸入制限などを経て、米シンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)が23年に報告書をまとめたことで概念として定着した。

25年にも、中国からレアアースを確保できなくなったことにより、アメリカをはじめ複数の工場が一時、生産停止を余儀なくされるなど、経済的威圧による影響は今も顕在化している。こうした状況からアメリカは、レアアースの精製で世界シェアの約9割を占める中国を「重要鉱物サプライチェーンにおける支配的な役割を武器化している」と批判している。

特定の資源や物流網、技術などの供給を一部の国や企業が支配し、それを通じて他国に影響力を行使できる戦略的な要所は「チョークポイント」と呼ばれる。これも経済安全保障の時代に、理解必須な概念だ。なお、類似概念である「エコノミック・ステートクラフト」は、相手国に経済的な痛みを与える行為のみならず、利益を与えて自国の方針に誘導するポジティブな側面も含有する点で異なる。

[監修]
赤平 大寿
日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所調査部ディレクター。アメリカの通商政策を中心に調査・情報発信を行う。2015~17年、ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)の客員研究員。

いくつ知ってる? 世界を読み解くキーワード

※2026年9月22日/29日号「ニュースが分かる 国際情勢BUZZワード50」特集では、50のキーワードを一挙に解説。米中ネット社会を読み解くコラム、「次の時代」を考えるコラムも掲載しています。

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