「宣伝戦」では中国が勝利

ホワイトハウス高官らは会談前から期待値を抑えようとしており、両首脳が年末までに深センとマイアミで開かれる国際会議でも顔を合わせる予定であることを強調していた。

それでも今回の首脳会談は、中東やウクライナなどの問題におけるトランプ氏の影響力の限界を露呈した外交週間を締めくくる結果に終わった。対照的に、北京を拠点とするコンサルティング会社トリビアムの地政学アナリスト、ジョー・マズール氏はこの会談について、中国にとって「PR上の勝利」になったと評価した。

トランプ氏は当初から習氏を手厚くもてなした。相手はトランプ氏自身がかつて、不公正な貿易慣行によって「米国を殺している」とまで批判した国の指導者にもかかわらず、トランプ氏は慣例を破り、自ら空港に出向いて習氏を出迎えた。米大統領が外国首脳の空港出迎えを行うのは11年ぶりのことだった。

その後、政府高官や大手テクノロジー企業の有力者らが集まった豪華な国賓晩餐会で、トランプ氏は習氏との関係について「これほど良好だったことはない」と語った。

中国外務省の元当局者で、北京に拠点を置くシンクタンク「グローバル・ガバナンス・インスティテューション」の副会長、シェン・ウェイジョン氏は「米国側が習近平氏に示した異例とも言える厚遇は、中国側の期待に十分応え、それを大きく上回るものだった。中国側は、首脳訪問によって必ずしも具体的な数の合意や、関税引き下げといった成果を出さなければならないとは考えていない。両首脳が会い、互いにうなずき、握手を交わす。その事実だけでも大きな意味を持つ」と述べた。

確かに習氏には譲歩を急ぐ理由もない、というのが専門家の見立てだ。ハイテク、自動車、防衛など幅広い分野に不可欠なレアアース(希土類)の生産で中国が圧倒的な地位を占めていることは、北京に強力な交渉材料を与えた。加えて、トランプ氏が関税措置をちらつかせる中でも、中国と世界各国との貿易は大きく拡大している。

トランプにも成果が