John Irish Tom Balmforth
[国連 25日 ロイター] - フランスやドイツでウクライナ支援に懐疑的な政党が選挙で勝利しても、欧州連合(EU)によるウクライナ支援が大きく揺らぐことはない--。北欧や東欧の首脳・外相が相次いでこうした見方を示した。加盟国の政治情勢が変化しても、EUにはそれを乗り越えるだけの強靱性があるとしている。
ロイターの取材に応じたこれらの人々は、欧州各国の選挙情勢が支援の先行きにリスクをもたらしていることを認める一方、軍事面や資金面で不足を抱えたウクライナが厳しい冬を迎える中でも、支援を継続すると強調した。
リトアニアのブドリス外相は「欧州の政治情勢を注視している」と述べ、各国の選挙が今後の支援を左右する要因の1つになっていると指摘。その上で、一部の国が支援に消極的になって「ウクライナを強く支持する国がさらに1つ抜けたとしても、他の国々が支える。これはわれわれ自身の利益だからだ」と語った。
エストニアのツァフクナ外相は、選挙への懸念よりもウクライナが直面する喫緊の課題を優先すべきだと強調するとともに「重要なのは選挙だけではない。ウクライナだ」と述べた。
ツァフクナ氏によると、8月にウクライナを訪問した際、同国政府当局者は冬を迎えることへの懸念を強めており、特に防空能力の不足や長距離攻撃計画を拡大するための資金不足を訴えていた。ゼレンスキー大統領からも、政治的な枠組みを脇に置き、必要な支援を実際に届けるよう求められたと明かしたツァフクナ氏は「今は来年の選挙がどうなるかを考えている余裕はない」と話した。
フランスでは極右政党、国民連合(RN)指導者のマリーヌ・ルペン氏が24日、大統領に選出された場合でも、ウクライナ軍兵士の訓練や軍事装備の供与、有志連合への支援を続ける考えを表明した。一方で、ウクライナに無制限に資金を提供する時代は終わるとの立場を示して「もはやウクライナへの財政支援を提供することはできない。残念だが、われわれにはその余力がない」と述べた。
ドイツでは、極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が今月、東部で行われた2つの州選挙で勝利し、全国の世論調査でも首位に立っている。AfDは、メルツ首相によるウクライナ支援を費用がかかり過ぎ、ロシアを不必要に刺激するものだと批判し、ロシアとのエネルギー関係の回復も主要政策に掲げる。
ポーランドのシコルスキ外相は、フランスの右派勢力について「何かを理解したように見える。それはプラスだ」と評価。一方ドイツについては「親ロシア的な極右がドイツのナショナリズムを復活させようとしているように見え、懸念している」と警戒感をのぞかせた。
ただフィンランドのストゥブ大統領は、欧州では過去にもウクライナ支援を弱めるとみられた政党が有権者の支持を集めたが、懸念は杞憂に終わったと指摘した。ストゥブ氏は「民主主義では振り子が左から右へ、時には極端な方向へ振れる」と説明。イタリアのメローニ首相が選出された際にもウクライナや欧州への悪影響が懸念されたが「実際には特にウクライナに関して前向きな影響しかなかった」と主張した。
またストゥブ氏は、ロシアやウクライナに近い国々は支援を継続する一方、より離れた国では一定の距離を置く動きが出る可能性があると言及しつつも、変化があっても支援の程度にとどまり、根本的な政策転換にはならないとの見通しを示した。
ウクライナのシビハ外相も、欧州各国の選挙日程を注意深く見守っているとした上で、長期的な支援に自信を表明。「もちろん、幾つかのリスクはある」と認め、ウクライナ問題を各国の国内政争の材料にしないよう求め、「欧州の英知を信じている」と付け加えた。