<日本は個人で2400兆円、企業で315兆円の金融資産を抱えているのに、それらは高金利を求めて海外に投資され円安を招いている>
この頃は毎日、高市積極財政の是非、「公約」の消費税1%減税の是非、そして「財源はあるのか?」という議論の繰り返し。経済の実態を見ての議論ではない。
こういう時は、視点を広げよう。財源は税金や国債だけでなく、年金積立金などをもっと利用することも考える。かつては、一般会計予算が約75兆円、財政投融資(郵便貯金・年金積立金等は当時の大蔵省の資金運用部に強制的に預託され、国内のインフラ建設等に低利で貸し出されていた)が約49兆円の時代(1996年)があった。
高度成長時代の日本は、企業は銀行融資、政府は財政投融資に大きく依存していた。90年代初頭のバブル崩壊と国際決済銀行(BIS)による日本の大銀行いじめ、つまり自己資本比率の引き上げで、銀行は企業から大規模な貸し剝がしを行った。
一方、財政投融資も2001年には大幅に整理・縮小される。90年代の金利自由化で、銀行の貸し出し金利の引き下げ競争が始まり、大蔵省は郵貯や年金から預託されたカネに十分な利子を付けて返済することができない、逆ザヤ状態に陥ったことが大きい。
今では財政投融資は20兆円以下になっている。公共事業費は一般会計、財政投融資ともに大きく減らされ、今に至る地方経済の沈滞とインフラの老朽化を招いた。
郵貯や年金基金は資金を自分で運用することを迫られ、比較的高利の外債、特に米国債の購入に資金を回した。
こうして日本は世界にとって、低利資金の供給国になった。これは、円売りを意味し、この数年の止まらない円安を生んだ。円は12年初めの1ドル当たり約75円から現在の約154円へと50%も値下がり。この間日本のGDPはドルベースで約3割減少し、カリフォルニア州とほぼ同規模になった。