Andrew Gray Lili Bayer
[ブリュッセル 16日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は16日に欧州議会で行った一般教書演説で、欧州の平和に対する脅威が高まっていると警告し、EU、英国、ノルウェー、ウクライナ、カナダの首脳から成る「欧州安全保障理事会」の創設を支持する考えを示した。
フォンデアライエン氏は「ロシアによるウクライナ侵攻は続いており、われわれの領土に対する脅威は増している」とし、「欧州のドクトリン、制度、意思決定の仕組みは新たな現実に追いついていない」と指摘。ドイツがロシアに責任があると結論付けた8月のライプチヒ・ハレ空港でのドローン(無人機)攻撃未遂事件などに言及し、「欧州独自の対ハイブリッド戦略」が必要との考えを示した。
また、「ハイブリッド攻撃」への対応を調整する新たな仕組みも提案。こうした攻撃はロシアによるものと疑われることが多く、軍事攻撃には至らないものの、破壊工作や放火、ドローン侵入などを通じて欧州の安全保障が損なわれると懸念されている。
その上で、欧州全体として対応を調整する仕組みを構築するため、EU加盟国ならどの国でも発動できる「緊急安全保障プロトコル」の設置を提案した。
こうした枠組みに参加する可能性がある国として北米のカナダにも言及。フォンデアライエン氏は演説の中でカナダを初の「準加盟国」として受け入れる道を開くと表明している。
ただ、フォンデアライエン氏が示した構想の詳細はほとんど明らかにされておらず、一部アナリストはNATO内にすでに存在する枠組みと重複し、混乱を招く可能性があるほか、単なる協議の場にとどまる恐れもあると指摘している。