Yantoultra Ngui Miho Uranaka Kane Wu Sumeet Chatterjee
[香港/東京 16日 ロイター] - 米コーヒーチェーン大手スターバックスが、日本事業の過半数株式の売却を検討していることが分かった。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。日本の事業価値は全体で約30億ドル(約4700億円)と評価される可能性がある。
日本はスターバックスが直営で運営する海外市場として最大で、2025年9月時点で1883店舗を展開。世界全体の店舗数の約9%を占める。
関係者らによると、スターバックスは日本事業の選択肢について金融機関から提案を受けており、過半数株式の売却を含む取引に前向きな姿勢を示している。
関係者の1人は、正式なプロセスは第4・四半期(10─12月期)にも始まる可能性があるとした。売却する持ち分比率はまだ決まっておらず、売却手続きを進める中で、事業価値も30億ドルから変動する可能性があるという。売却には国内外のプライベート・エクイティファンドが関心を示すと予想されている。
スターバックスの広報担当者はロイターの問い合わせに電子メールで回答し、「スターバックス・ジャパンは、30年にわたり築き上げてきたブランドへの強い支持と信頼を背景に、堅調な事業を展開している」と説明。「顧客にとって最善であり、株主価値を創出できる事業体制について継続的に検討している」とコメントした。
<資産売却と事業再編>
スターバックスが日本事業の株式売却を検討する背景には、収益改善に向けた取り組みの一環として事業ポートフォリオの見直しを進めていることがある。ブライアン・ニコル最高経営責任者(CEO)は、北米で店舗閉鎖や本社部門の人員削減を実施。店舗改装やマーケティング強化によって来店客数は持ち直しているものの、コスト増が利益を圧迫している。
同社は2014年、約20年にわたる合弁運営を経て、パートナー企業だったサザビーリーグから持ち分を取得し、スターバックス コーヒー ジャパンを完全子会社化した。未保有だった株式60.5%を約9億1400万ドルで取得したことで、日本事業全体の企業価値は約15億ドルと評価された。当時の日本国内の店舗数は約1050店だった。
スターバックスが日本事業を売却しようとしていることは、ブルームバーグが6月に報じていた。TDセキュリティーズのアナリストは同月のリポートで、「スターバックスにとって日本市場は中核市場ではなく、資金化することは合理的だ」と指摘。取引により、経営資源を米国事業の立て直しに一層集中できるとの見方を示した。
スターバックスは昨年、中国事業の経営権を現地投資ファンドの博裕投資(ボーユー・キャピタル)に売却することを決めた。事業価値は約40億ドルと評価され、売却は今年4月に完了した。中国市場では成長鈍化や競争激化への対応が課題となっていた。
ロイターは当時、カーライル・グループ、EQT、KKR、ベインキャピタルなど複数の世界的PEファンドがスターバックス中国事業への入札に招請されたと報じていた。
日本事業の売却でも同様のスキームが採用されるかどうかは、現時点では明らかになっていない。
(Yantoultra Ngui、浦中美穂、 Kane Wu 取材協力:Sam Nussey)