エネルギー省は「一時的なもの」としているが

抗議の背景には、燃料価格が交通費や生産費に直接影響するシリアの経済事情がある。例えば、ハサカ県内では一部交通路線で運賃が300シリア・ポンド(約382円)から500シリア・ポンド(約637円)へ上昇していると『エナブ・バラディ』が報じている。

特に、ディーゼル燃料は自動車だけでなく、暖房、農業、発電、輸送などでも使用されるため、値上げの影響範囲は広い。

世界銀行は、14年間の紛争によりシリアの国内総生産(GDP)が2010年比で50%以上縮小し、2024年の1人当たり国民総所得(GNI)は830米ドル(約12万8900円)まで低下したとしている。

また、人口の約4分の1が極度の貧困状態にあり、約3分の2が下位中所得国向けの貧困線を下回るとしている。

一方、シリアのエネルギー省は今回の価格改定を「一時的なもの」と説明している。SANAによると、同省のアブドゥル・ハミド・サラット広報部長は、価格の調整は、例外的な状況と世界的なエネルギー市場の一時的な変動によるものであり、燃料確保コストの大幅な上昇を招いた結果だと述べ、価格は固定されたり一方的に変動したりするものではなく、コストや状況の変化に応じて上下に見直される可能性があると説明した。また、国際市場で精製済み石油製品の価格が上昇し、輸送費や海上保険料も増加しているとも説明している。

「価格調整は、特に現在の生活状況や所得水準を考慮すると、国民にさらなる負担をかけることは理解している。しかし、シリアは現在、石油製品の需要を満たすために輸入に大きく依存している。そのため、これらの物資の確保にかかる費用は、世界市場の変動から切り離して考えることはできない」

加えて、国内のバニヤス製油所が数カ月間の大規模改修に入ったため、国内の精製能力が低下し、完成品の輸入を増やす必要が生じたという。

スラットは、シリアが必要とする原油・石油製品は1日約30万~32万5000バレル(約4770万~5168万リットル)であるのに対し、国内原油生産は1日約10万バレル(約1590万リットル)と、需要の3分の1程度しか満たしていないと指摘。その不足分は輸入に依存していると述べた。

シリア政府も対応を協議
【関連記事】