Hannah Lang
[15日 ロイター] - 米上院は15日、トランプ大統領が支持する包括的な暗号資産(仮想通貨)関連法案の審議入りを否決した。数カ月にわたり同法案を推進してきたデジタル資産企業や共和党にとって大きな痛手となった。
「クラリティ法案」と呼ばれるこの法案は、上院(定数100)で大半の法案の審議入りに必要な60票の壁を10票下回った。共和党のジェリー・モラン氏、スーザン・コリンズ氏、ジョシュ・ホーリー氏、トム・ティリス氏の4人の上院議員が民主党全議員と共に反対票を投じた。採決は賛成50票、反対49票だった。
11月の中間選挙を控え、共和党が下院と上院の多数派維持を目指す中、議会は今月中に休会入りする予定で、今回の採決により同法案は事実上棚上げとなった。
クラリティ法案はデジタル資産に関する規制枠組みの構築を目的としており、暗号資産企業側は、これにより法的な基盤がより強固になると主張していた。
自身の家族が関わる暗号資産事業から14億ドル超の収入を得ているトランプ氏は、議会に対し同法案の可決を強く求めていた。トランプ氏は2024年の大統領選挙戦で、自らを「暗号資産大統領」と称し、暗号資産業界からの資金を積極的に集めていた。
今後は証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)をはじめとする規制当局が、暗号資産政策の空白を埋める立場に置かれることになる。ただ、デジタル資産業界に有利な規則の策定は困難を伴う可能性がある。
業界専門家は、恒久的な規制の枠組みを構築できるのは議会だけだと指摘してきた。法整備がなければ、規制は政治情勢の変化や訴訟の影響を受けやすく、暗号資産業界にとってリスクがくすぶり続けることになると、企業幹部やアナリストは述べている。
コインベースのブライアン・アームストロング最高経営責任者(CEO)は15日の採決後、交流サイト(SNS)に「クラリティ法案が本日、上院で審議入りできなかったことは遺憾だ」と投稿。その上で「SECとCFTCは既存の権限の下で明確な規則を策定するために必要な手段を有しており、両機関が本格的にこの作業に着手することを期待する」と述べた。
世界最大の暗号資産ビットコインは、採決が否決される見通しとなる中で5%超下落し、1日の下落率としては6月以来の大きさとなった。暗号資産取引所コインベースと、ステーブルコイン「USDC」を発行するサークルの株価は最大で10%下落した。