Gwladys Fouche

[オスロ 15日 ロイター] - 人工知能(AI)は既に交流サイト(SNS)を通じて人間の関心を奪い、親密さを求める心理を操作することで私たちの生体機能にまで影響を及ぼしており、今すぐ法規制を設けてその力を制限しなければ、人類は主体性を失ってしまう──。ノーベル平和賞受賞者のマリア・レッサ氏はこう警鐘を鳴らした。

大手IT企業の影響力を明らかにした活動などが評価され、2021年にノーベル平和賞を共同受賞したジャーナリストのレッサ氏は現在は、AIが世界の人々の暮らしをどのように変容させているかを評価する任務を担う国連の「AIに関する国際科学パネル」の共同議長を務める。

レッサ氏は、民主主義への脅威をテーマにした会議での講演のために訪れたオスロで「規制を求めることは、言論の自由の問題ではない。公共の安全の問題だ」とし、政治家に法整備を促すため、市民がAI規制を求めて声を上げる必要があると訴えた。

「今がまさに分岐点で、措置を講じなければ私たちは転落してしまう。今すぐ介入しなければ、私たちの制御の及ばないものになってしまうだろう」と述べた。

その上で、同氏はSNSに年齢制限を設けるという欧州連合(EU)やオーストラリアを中心とした各国の動きを歓迎するとの考えを示した。ただ、テック企業が開発したツールが大人にとっても中毒性があるという「根本的な欠陥」には対処できていないと指摘。

「有害だと分かっているのだから、中毒性のある機能は10代だけでなく、私たち全員のために削除すべきだ」とし、「世界のあらゆる国で、政治的に操作されているのは若者だけではない」と述べた。

さらに、緑地公園のような公共インフラが整備されてきたのと同じように、巨大IT企業(ビッグテック)の支配から離れた公益団体によって構築されたコミュニケーションプラットフォームが創設されるべきだと訴えた。同氏が共同創業者兼最高経営責任者(CEO)を務めるニュースサイト「ラップラー」 でも、2023年に「ラップラー・コミュニティーズ」を立ち上げた際にそれを実践したという。

「デジタル空間の中で人々が安心していられる場所、互いに話し、そして何よりも互いの声に耳を傾けることができる場所であり、そうすることで民主主義という偉大な営みが実現する」と語った。

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