Miho Uranaka
[東京 15日 ロイター] - 金融庁は15日、2026事務年度金融行政方針で、金融機関ごとの監督に加え、金融システム全体のリスク把握を重視する姿勢を示した。金利上昇や金融サービスの多様化を背景に、不動産向け融資やプライベートアセット市場など新たなリスクの芽にも目配りするほか、生成AI(人工知能)を活用した監督・市場監視の高度化も進める。
金融庁は今夏の組織再編で、従来の監督局を「資産運用・保険監督局」と「銀行・証券監督局」に再編した。これと並行して、個別金融機関と金融システム全体を俯瞰する監督を連携させる枠組みを強化する。
重点分野としては、金利上昇に伴う流動性や金利リスクを挙げた。預金獲得競争の激化などで金融機関の調達・運用環境が変化する中、資産・負債の総合管理(ALM)の状況を確認し、収益や資金繰りへの影響を点検する。また、不動産の信用リスクについては、不動産業向け貸出や大口与信、海外ファンド向け融資、データセンター関連のプロジェクトファイナンスなどについて、審査や集中リスク管理の実効性を検証する。
政府が7月に策定した「成長投資を促進するための金融戦略」を踏まえ、プライベートアセット市場の動向や、プライベートクレジットなどのノンバンク金融仲介の拡大に伴うリスクの把握にも乗り出す。背景には成長投資を支える資金供給主体の多様化がある。銀行以外のプレーヤーの存在感が高まる中、金融庁はこうした分野への監視の在り方を検討する。
不祥事対応では、経営陣の姿勢や組織文化まで踏み込んで原因を分析し、重大・悪質な案件には厳正に対応する。生命保険会社の不適切な金銭取扱事案への対応を続けるほか、暗号資産交換業者への監視や無登録業者への対応も強化する。
金融庁自身の業務改革も柱の一つとなる。生成AIを政策立案からモニタリング、市場監視まで幅広く活用し、大量の文書やデータ分析の効率化を進める。長官をトップとする「金融庁AIトランスフォーメーション会議」も設置し、AIを前提とした行政運営への転換を進める方針も明記した。