インドは今や、国際的な特殊詐欺で世界最大級の拠点の1つになっている。その影響は、被害額だけでは語れない。
米FBIによれば、テクニカルサポート詐欺と政府機関を装った詐欺によるアメリカの被害は、2022年に総額10億ドル超に上った。こうした詐欺電話で主な発信元になっていたのがインドだった。
インドの特殊犯罪の拠点は、地理的に複数の地方に分散している。代表的なのは、ジャルカンド州ジャムタラと、ラジャスタン・ウッタルプラデシュ・ハリヤナの3州にまたがるメワット地域だ。
報告されたサイバー犯罪のうち、拠点として国内最多の18%に上ったのがラジャスタン州バーラトプル。メワット地域(11%)やジャムタラ(9.6%)などが続き、上位10地区で国内のサイバー犯罪拠点の約80%を占めていた。
メワット地域発の詐欺には特殊な技能は必要なく、電話と銀行口座だけを用意して犯罪に手を染める者も後を絶たない。中には12歳のかけ子もおり、1日500件以上の詐欺が新たに仕掛けられている。
主な手口は4つで、1つ目は暗号資産を使ったロマンス詐欺だ。
2つ目は、インドのサイバー犯罪を象徴する手口で、国外の被害者を狙うテクニカルサポート詐欺。「お使いのシステムがウイルスに感染しました」「アカウントに不正アクセスがありました」などの偽の警告メッセージをデバイスの画面に表示させ、マイクロソフトやアップルの従業員を装った実行役が被害者に遠隔操作を許可させた上で金銭をだまし取る。FBI捜査官ジェレミー・カペロが指摘するように、被害者をパニックに陥れて誘導する手法だ。