Katharine Jackson Courtney Rozen
[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米大統領は14日、人工知能(AI)の悪用を巡り業界幹部らが週末に懸念を表明したことについて、米国にはすでにAI企業を規制し、法的責任を追及するための枠組みが整っていると主張した。
トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、AI開発に疑念が投げかけられることで、中国が利益を得ることになるとの考えを示し、「AIに必要な唯一の管理や『ガードレール』は、強く聡明な(高IQの)大統領だ。米国にはそれが十分にある」とした。
その上で「われわれにはこれらの企業に対する強力な刑事・規制上の権限がすでにある。AIやデータセンターに反対する病的な陰謀が進行しており、それを喜んでいるのは中国だけだ」とした。
トランプ大統領はこれまでに、来週予定する中国の習近平国家主席との会談で、AIについて協議する公算が大きいとの認識を示している。また、関係筋によると、首脳会談に先立ち、両国の政府関係者主導でAIリスクについて協議するための別の会合が9月中旬に計画されている。
ジョンソン米下院議長は14日、トランプ大統領が週内もしくは「来週初め」に、AI企業の幹部と会談する見通しだと記者団に語った。会談では「安全性の維持に関する企業の責任」と、「その上で政府が果たすべき役割があるとすれば、それはどのようなものか」に焦点が当てられるという。
AI関連株は14日、世界的に急落した。業界最大手企業の一部の首脳が、技術開発のペースを減速させるよう呼びかけたことを受けた。
AI開発企業アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は12日、Xに掲載した文書で「われわれはAIモデルの能力を向上させるペースを緩めなければならない」と主張し、AI業界全体に開発を減速するよう促した。
この提案には、XAIを率いるイーロン・マスク氏やオープンAIのサム・アルトマンCEOなど、大手AI企業の複数の幹部が直ちに賛同した。
また先週には、アンソロピックの研究者ジェイコブ・コクソン氏が、AIの急速な進歩はそう遠くない将来に人類滅亡につながりかねないと警告して辞任を表明した。
トランプ氏はこれに対し、AIを安全に保つための手段がすでにアモデイ氏に対して用いられたと述べた。「トランプ政権はこれまで、AIを構築している人々が悪いこと、あるいは悪くなりかねないことをするのを止めてきた。今や『完璧な小さな天使』のふりをしているダリオ(アンソロピック!)のような者だ。今後もそうし続ける」とトランプ氏は語った。
アンソロピックの広報チームは、トランプ氏の発言に関するコメント要請に直ちには応じなかった。
バンス副大統領も14日、記者団に対し、AI業界の規制を米政府に求める業界幹部らについて「これほど多くのAI技術企業が政府のもとにやって来て、自分たちを規制してくれと懇願していることに、少し違和感を覚える」と述べた。
トランプ氏はSNSへの投稿で、AI業界による規制要求は「デマ」だと切り捨てた。
テクノロジー関連法制で主導的立場にあるバージニア州選出のマーク・ワーナー上院議員(民主党)は週末、アモデイ、アルトマン両氏とAIの安全性に関する懸念について協議した。同議員の報道担当者が明らかにした。
ロイターは14日、米上院議員3人がAI企業に対し、自社ツールが害を及ぼさないよう合理的な予防策を講じていることを証明するよう義務付ける法案の策定に取り組んでいると報じた。詳細は現在も議論されている。
米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは14日、ロサンゼルスで開かれた「オールイン・サミット」でAIの安全性を巡る懸念に言及した。出席者が提供した発言記録によると、フアン氏は「一時停止やペース調整など、さまざまなことがある。それらは全て、自社が制御不能に陥っていると感じるなら、自主的にできることだ」と述べた。
フアン氏はイベント中にトランプ氏から電話を受け、聴衆に向けてスピーカーフォンで通話。約5分間の通話の中で、トランプ氏はデータセンターが人々や州を豊かにすると述べ、それらを「今後20年、25年の石油」と表現した。
トランプ氏はまた、AI開発を批判する人々について「その実現を望まない多くの人々の思惑に乗せられている。それは政治家かもしれないし、中国かもしれない」と述べた。
「われわれはそんなことを許さない」とトランプ氏は述べ、フアン氏もこれに同意した。