[14日 ロイター] - 中国国家外貨管理局(SAFE)が銀行に対し、企業顧客による為替リスクのヘッジを促進するよう指導している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。対ドルで上昇を続ける人民元による輸出企業の損失拡大を防ぐ狙いがある。
関係者の話では、こうした非公式の指導(窓口指導)はここ数カ月の間に実施された。当局は、景気減速が続く中で数少ない好調分野となっている輸出企業の為替差損を懸念しているという。
人民元は今年に入り対ドルで約4.3%上昇し、約4年ぶりの高値圏で推移している。
関係者によると、SAFEの地方支局が各銀行に、顧客の為替エクスポージャーに対するヘッジ比率の引き上げを求めた。一部の支局はヘッジを拡大した企業に補助金を支給し、通貨オプションのプレミアム費用の一部または全額を負担したもようだ。輸出産業が集積する沿海部の銀行には約40%以上への引き上げを促したほか、貿易活動が比較的低調な地域の一部銀行にもヘッジ比率を全国平均まで引き上げるよう要請したとされる。
人民元高は数カ月にわたり輸出企業の収益を圧迫しているだけでなく、最近ではイラン情勢を巡る緊張の高まりで為替市場の変動性が増しており、中国企業は為替リスク回避のためデリバティブ取引の活用を急いでいる。
SAFEのデータに基づくと、企業が今年上半期に締結した為替デリバティブ契約額は約1兆4000億ドルに達し、前年同期比で約40%増加。全国の為替ヘッジ比率は35.3%と、昨年末から5.3ポイント上昇した。
中国の輸出部門は、ハイテク製品や人工知能(AI)関連製品への旺盛な需要を背景に堅調を維持しており、内需低迷に苦しむ経済を支える重要な柱となっている。
市場では人民元上昇のペースは鈍化するとの見方が多いものの、輸出企業への影響は継続。ゴールドマン・サックスの分析では、今年上半期の為替差損は過去10年で最大となる約700億元に達し、企業利益全体の約4%を占めた。
ただゴールドマンは「輸出企業の大幅な利益成長を踏まえれば、こうした損失は依然として管理可能な水準にとどまっている」としている。