ファインスタイン医学研究所のジャクリーン・モリン教授(今回のCDCの研究とは無関係)は本誌の取材に対し、WTC崩壊の粉塵に含まれていた有害物質の組み合わせについて、非常にアルカリ性が強かったため組織の深部まで浸透し得たことが問題の一つだったと指摘した。
「これを吸い込んだ人々には即座に反応が起きた。粉塵による刺激で副鼻腔や鼻、喉、肺に問題が起きた人もいる」
その刺激が原因で、「副鼻腔の問題や鼻の慢性的な炎症、飲み込んだ粘液や吸い込んだ粉塵が食道に入り込んで重度の炎症を起こしたことによる胃食道逆流症を発症した」
ほかにも喘息を発症したり、肺組織が線維化した症例もあったといい、中には肺移植を必要とした症例さえあったとモリンは付け加えた。時間の経過とともに、粉塵にさらされた人々ががんと診断される症例が顕在化するようになり、特に血液がんが目立つという。
健康への影響は、個人の身体的反応や吸い込んだ粉塵の量、何を吸い込んだかによって異なるとモリンは指摘している。
こうした今も続く健康被害の実態は、直後の復興が完了した時点で災害対応を終わらせるべきではないことを裏付けているとCDCの研究チームは指摘する。
その上で、新たに発生した健康問題を把握して被害者を長年にわたって支援するためには、長期的な調査や連携の取れたケアの仕組みが欠かせないと提言した。
モリンは9.11同時テロが公衆衛生に及ぼした長期的な影響についてこう総括した。「大規模な事案の発生後には、そうした災禍の結果を理解するだけでなく、何に目を向けるべきかを把握し、今後の対応を向上させるためにも、医学的監視が極めて重要とされる」
【参考文献】
Azofeifa, A et al. (2026) Twenty-Five Years After 9/11—Lessons From the World Trade Center Health Program. JAMA. doi: 10.1001/jama.2026.15259
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