<ドイツ東部の州議会選で極右AfDが歴史的勝利。今後の動きは日本にとっても他人事ではない、とマライ・メントライン氏は指摘する>
ドイツ東部ザクセン・アンハルト州の州議会選挙で、極右政党ドイツのための選択肢(AfD)が得票率43.8%で予想どおり大勝した。直前の世論調査でも支持率40%を超え、伝統的な保守政党キリスト教民主同盟(CDU)を大きく引き離していたので、青天の霹靂という結果ではない。それでも、戦後ドイツで極右と公式に認定された政党がここまで来た事実は重い。
移民、治安、SNS、旧東独圏特有の政治不信など理由はいくつもある。しかしその根底にあるのは「既存政党に任せていても、どうも生活も国も良くならない」という疲労感だろう。ザクセン・アンハルトでは、自分の暮らし向きに比べ、州全体の経済への評価が厳しい。経済はコロナ禍以降の長い不調から抜け切れず、化学産業など基幹産業も揺れている。
CDUや社会民主党(SPD)は何年もこの状況に直面しながら、状況を改善させた実感がない。そうなると「AfDが好きだから」だけでなく「ほかの党が絶対的に駄目だから」という消極的支持も生まれる。だが問題はここからだ。
AfDは「現状批判」の経験は豊富だが、実際に州政府を運営した経験はない。つまり「政権ノウハウ」はほぼない。そのため仮に州政権を握れば、2つの展開が考えられる。1つは、いざ役所を動かそうとすると法律や予算、連邦制度、行政実務という壁にぶつかり、ほとんど動けないパターン。
もう1つは逆に、支持者の期待に応えようと強引に政策を進め、社会の混乱と分断を深めるパターンだ。実際、AfDは「100日プラン」で、移民強制送還の拡大、難民申請者への労働義務、公共放送制度からの離脱、学校での虹色旗禁止などを掲げている。なるほど、政治的メッセージとしては非常に分かりやすい。問題は、それで州の経済が強くなるのか、である。