ボスニア・ヘルツェゴビナ政府は8日、セルビアの外交官2人を国外追放し、地域協力協定の調印計画を凍結した。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争下のジェノサイド(集団殺害)罪などで終身刑を受けた旧ボスニア・セルビア人勢力のラトコ・ムラディッチ元司令官の公葬をセルビア政府が行ったことに抗議した。

ムラディッチ受刑者は先月27日、国連管理下のオランダ・ハーグ郊外の収容施設で死亡した。サラエボ包囲戦や1995年にスレブレニツァで少なくとも8000人のイスラム教徒が虐殺された事件への関与により、ジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪で終身刑に服していた。

7日にセルビアの首都ベオグラードで行われた葬儀には政府高官を含め数千人が参列し、ムラディッチ受刑者がなお多くの市民から崇拝されている実情が浮き彫りとなった。

ボスニア・ヘルツェゴビナのコナコビッチ外相は8日、サラエボのセルビア大使館に勤務する外交官2人に対し、48時間以内の国外退去を通告したと述べた。詳細は明かさなかった。

同相はまた、10月1日にモンテネグロで署名される予定の「西バルカン諸国の善隣関係および協力に関する覚書」について、ボスニアは署名を控えると発言。セルビアがムラディッチ受刑者の死と葬儀への対応において「あらゆる一線を越えた」と語った。

前日には、葬儀に抗議するため、ベオグラードにあるボスニア大使館から職員の大部分を撤退させると述べていた。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は8日、ムラディッチ受刑者の葬儀の映像を「衝撃的」と表現した上で、一部のセルビア高官が葬儀に参列したことは「欧州の近現代史における暗い一章と向き合うことができていないことを示す」とし、セルビアの欧州連合(EU)加盟計画を損なう可能性があると述べた。

国連事務次長兼ジェノサイド防止特別顧問のチャロカ・ベヤニ氏は声明で「ジェノサイドの否定や、戦争犯罪者であるムラディッチ受刑者の美化が公然と行われている事態を、懸念を持って注視している」と表明。「同受刑者の大規模な公的な追悼行事は極めて不適切であるとともに深く憂慮すべきものだ」と述べた。

[ロイター]
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