Sam Tabahriti Joanna Plucinska
[ロンドン 8日 ロイター] - 英国の主要空港で8日、航空管制サービス企業NATSのシステム障害により航空便の運航に大きな混乱が発生した。航空インフラの信頼性を巡る懸念が改めて浮上した形だ。
今回のトラブルでは数百便が欠航し、さらに数百便に遅延が発生した。NATSでは3年前にも飛行計画処理システムの障害でより大規模な混乱が発生しており、今回の事態を受けて同社に対する目がより厳しさを増している。
英国各地の空港では多くの利用者が出発ロビーで情報を待つ状況となり、航空各社からは英国の航空管制システムが現在の運航需要に対応できているのか疑問の声が上がった。
NATSは8日午後7時34分(日本時間9日午前3時34分)、飛行データ処理システムに影響を与えていた問題は解消されたと発表した。同社はこれに先立ち「安全性は損なわれていない」と説明していた。
Xに「本日のシステム障害からの復旧には想定以上の時間を要した。問題は現在解決しており、通常運用に戻っている。滞留した便の解消に全力を挙げている」とコメントした。
影響が及んだのは、英国最大の空港であるヒースロー空港を含め、発着便合わせて約1000便。航空機追跡サイト「フライトアウェア」のデータに基づくと、日本時間9日午前0時18分時点で、ヒースロー、ガトウィック、ロンドン・シティー、ルートン、エディンバラ、ブリストルの6空港で計約490便の出発便が遅延した。
また、これら6空港では到着便約525便が欠航または遅延となった。
航空分析会社シリウムによると、ヒースロー空港では予定されていた到着便661便のうち38便が欠航、または運航不能となった。航空会社別ではブリティッシュ・エアウェイズが予定出発便333便のうち16便を欠航し、最も大きな影響を受けた。
格安航空会社ライアンエアーは、6万5000人超の利用者が最大8時間の遅延の影響を受け、50便余りを欠航にしたと発表した上で、NATSのマーティン・ロルフ最高経営責任者(CEO)の辞任を求めた。
ライアンエアーのニール・マクマホン最高執行責任者(COO)は「利用者はあと何回システム障害に苦しめられればよいのか。高額報酬を受け取るNATSのロルフCEOは、度重なる経営失敗の責任を取り辞任すべきだ」と批判した。
格安航空会社ウィズエアーも、航空管制システムの抜本改革を要求。「航空会社、利用者、空港が繰り返されるシステム障害の代償を負い続けるべきではない。重要な国家インフラ事業者が繰り返し航空システム全体を停止状態に追い込むべきではない。現在のNATSは本来求められる機能を果たしていない」と苦言を呈した。
英民間航空局(CAA)は、今回の障害に関する詳細な報告書をNATSに提出するよう求める方針を示した。CAAは報告内容を精査した上で、英国の航空管制システムの信頼性確保に向け、追加措置が必要かどうかを判断するとしている。
CAAは2024年、前年に発生した飛行計画の自動処理システム障害を受け、NATSに対し障害発生時の対応計画を見直すよう求めていた。航空各社の経営陣によると、この障害に伴う払い戻しや補償費用は総額1億ポンド(1億3549万ドル)を超えた。