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[オスロ 3日 ロイター] - ノルウェー当局は2日夜、北極圏でロシアのクルーズ船が差し押さえられたと明らかにした。2014年にロシアが一方的にクリミアを併合した際に接収された資産の賠償命令執行を目指すウクライナ国営エネルギー会社ナフトガスの要請に応じたもので、ノルウェー政府は関与していないとしている。
当局者によると、差し押さえられたのは「プロフェッサー・モルチャノフ」号。北極圏スバールバル諸島にある、ロシアが運営する炭鉱集落バレンツブルクで差し押さえられた。ナフトガスの代理人を務める米法律事務所コビントンは、ノルウェー沿岸警備隊との24時間に及ぶにらみ合いの末、差し押さえられたとしている。
ロシアは差し押さえを「海賊行為」と非難し、ノルウェー大使を外務省に呼び出して強く抗議した。ロシア外務省は声明で「ノルウェーがスバールバル諸島でロシアに対して課している制限措置は国際法に違反しており、同諸島で活動するロシアの組織や市民は事実上封鎖状態に置かれている」と主張し、ノルウェーが条約に違反していると非難。同船の解放に向けて取り組む考えを示した。
ノルウェー政府は、ナフトガスの申し立てに基づく措置で、ノルウェー政府は関与していないとしている。
ナフトガスはクリミアで接収された資産の賠償を求め、16年からロシアに対する法的措置を進めている。オランダ・ハーグの仲裁廷は23年4月、ロシアに対し、42億2000万ドルに利息と訴訟費用を加えてナフトガスに支払うよう命じたが、ロシア政府は履行していない。ナフトガスは「ナフトガスと傘下企業に認められた賠償金が支払われるまで、世界各地でロシア資産を追い続ける」と表明した。
差し押さえられたプロフェッサー・モルチャノフ号は全長71メートルで、1982年にフィンランドで建造。クルーズ船情報サイト「クルーズマッパー」によると、乗員32人、乗客52人を収容でき、図書室やサウナ、バー、レストラン2カ所を備えており、科学調査航海や商業クルーズなどに利用されている。
今回の航海に同行していた記者によると、同船は今月1日にロシア人科学者らを乗せてバレンツブルクに到着した。乗船者数については明らかになっていない。ロシア紙コムソモリスカヤ・プラウダ系ラジオのアンドレイ・ゴルブノフ編集長によると、プロフェッサー・モルチャノフ号はバレンツブルク港からの出港を禁じられているが、現時点で逮捕者は出ていない。
プロフェッサー・モルチャノフ号の差し押さえはノルウェーの地方裁判所の命令に基づくもので、裁判所は1日、地元の知事に対し同船が移動しないようにするよう求めた。ノルウェー法務省は、ロシアは地裁に対し再審査を求めることができるとしている。
スバールバル諸島は北極点と欧州大陸のほぼ中間に位置し、1925年からノルウェー領になっているが、1920年のスバールバル条約に基づいて統治されている。同条約ではロシアを含む加盟国の国民に対し、ビザなしで居住する権利が認められている。ノルウェー統計局によると、バレンツブルクはスバールバル諸島にある2つのロシア人居住地の1つで、両居住地の人口は計392人。