Gertrude Chavez-Dreyfuss Fergal Smith

[ニューヨーク/トロント 26日 ロイター] - 米カンザスシティー地区連銀が主催する年次シンポジウム「ジャクソンホール会議」が27-29日に西部ワイオミング州で開かれる。投資家が注目するのは、米連邦準備理事会(FRB)の政策当局者が、国債利回り上昇による金融引き締め効果をどのように金融政策へ取り込もうとしているのかに関する手掛かりだろう。

ジャクソンホール会議はこれまでも、FRBが金利政策に関する考え方を示す重要な場となってきた。ただ市場関係者の多くは、トランプ大統領に指名されたウォーシュFRB議長が、28日に行うこの会議における就任後初の講演でその伝統を踏襲するとは考えていない。

ウォーシュ氏は、投資家が長年頼りにしてきた「フォワードガイダンス(将来の政策指針)」を放棄し、市場参加者は政策当局の発言ではなく市場シグナルそのものを読み取るべきだとの立場を示しているためだ。

結果的に市場は手掛かりを失った状態にある。ウォーシュ氏が直近の連邦公開市場委員会(FOMC)後に「国債利回りの上昇による金融環境の引き締まりが、物価上昇率が依然としてFRB目標の2%を大きく上回っていても利上げ圧力を和らげる可能性がある」と示唆したことで混乱が広がり、インフレ対応への信頼性にも疑問が生じていると複数の投資家は指摘する。

そのため投資家は、今回の講演を通じてFRBがどのように物価上昇率を目標の2%へ戻そうとしているのか、そしてその過程で債券市場がどのような役割を果たすと考えているのかを、より明確に説明することを期待している。

カナダ・トロントのフェアバンク・インベストメント・マネジメントでポートフォリオマネジャーを務めるロバート・ギル氏は「このような方向性の欠如は非常にフラストレーションがたまる。それが不確実性を生み出し、長期国債利回りの上昇につながっており、その状況はウォーシュ氏自身が意図的に作り出しているようにも見える」と困惑を隠さない。

今月の長期国債価格の急落(利回り急上昇)後に米財務省が長期国債の買い戻し規模を2倍に拡大すると発表したことで、事態はさらに複雑化した。ベセント財務長官は、この措置について市場の流動性支援が目的だと説明。多くの投資家は利回り上昇を抑えるための介入と受け止めたが、その効果は長続きしなかった。

投資家の間では、ウォーシュ氏が財務省の債務管理政策について直接コメントするとは予想されていない。ただ財務省による買い戻し拡大と、長期債保有に伴う追加リスクへの対価である「タームプレミアム」の上昇が同時に進んでいることは、FRBにとって新たな課題を浮き彫りにしている。

このため市場は、ウォーシュ氏が個人消費支出(PCE)物価指数で測定する物価上昇率について、2%目標への強いコミットメントを改めて示し、物価上昇率が引き続き目標を上回る場合にどのように対応するのかを明確に説明することを求めている。

モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントで広範市場債券運用チームを率いるビシャル・カンドゥジャ氏は「目標達成まで1年待つつもりなのか。それとも6カ月以内に目標水準へ戻そうとするのか。その辺りをはっきりさせる必要がある」と主張する。

こうした不透明感を反映し、市場では利上げ観測が高まっている。雇用の減少やインフレ率の減速からは、米経済がすぐに過熱するリスクは見られないものの、CMEの「フェドウォッチ」によると、9月に利上げが実施される確率は40%と織り込まれており、1週間前の33%から上昇している。

トロントのデジャルダンでマクロ戦略責任者を務めるロイス・メンデス氏は「市場を暗闇の中に置いたままにしておくのは合理的ではない」と批判した。

<利回り上昇の引き締め効果>

一方で、ウォーシュ氏の考え方に理解を示す投資家もいる。DWSで米州債券部門責任者を務めるジョージ・カトランボーン氏は、債券市場自体が既に金融環境を大きく引き締めており、政策金利の追加引き上げは必ずしも必要ではないとの意見だ。

実際、ウォーシュ氏が5月に就任して以降、米10年国債利回りは8ベーシスポイント(bp)上昇し、30年国債利回りは10bp上昇した。

とはいえ長期金利を押し上げている要因はインフレ懸念や将来の政策金利見通しだけではなく、国債の発行増加や投資家需要といった需給要因も大きく影響している。

ベセント氏は、財務省が現在、高利回りで発行される社債との競争にも直面していると説明しており、その中には、人工知能(AI)インフラ整備に関連する大型起債も含まれる。

投資家の話では、長期債保有に対して市場が引き続き高いリスクプレミアムを求める限り、財務省の買い戻し策だけで長期金利上昇圧力を取り除くことは難しい。だがFRBがインフレ抑制への信認を高めることができれば、その圧力を和らげる要素になってもおかしくない。

アリストテレス・キャピタルのジェフ・クリンゲルホーファー共同最高投資責任者は「投資家とFRBの間では非常に慎重な駆け引きが続いている。しかし最終的には、FRBは何らかの行動を取るか、少なくとも明確なメッセージを発しなければならない」と訴えた。

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