Leika Kihara

[東京 27日 ロイター] - 元財務官の篠原尚之氏は27日、日米両政府が7月末に実施した協調介入について、従来の手法と異なる特徴があると指摘した。1990年代後半のアジア通貨危機を想起させる側面があるとの見方も示した。

ロイターとのインタビューで語った。

今後の介入原資を巡り、ベセント米財務長官が米連邦準備理事会(FRB)の「FIMAレポ・ファシリティ」を活用する選択肢を示したことに触れ、篠原氏は、タイが通貨危機に直面した際、米国・日本・IMF(国際通貨基金)でタイの外貨準備増強のためにドルを貸し込んだことを思い出したという。

日本の現状は当時のタイとは状況が違うとしつつも、介入の際に米国債を売らないことを示唆するベセント長官の意向は当時を連想させ、「構図が悪い」との私見も述べた。

今回の日米協調介入が従来の協調介入とは性格が大きく異なる点も指摘した。

篠原氏によると、協調介入は通常、主要国が為替相場の動きについて問題意識を共有し、その認識が主要7カ国(G7)声明などの形で示されたうえで実施されるもので「今回はそうしたプロセスが行われた形跡がない」という。

その上で「通常なら、どこかの段階でG7の共同声明が出るはずだが、そうしたものもまだ出ていない」と語った。

財務当局と足並みをそろえる中央銀行の存在感が極めて薄かったことも異例だと指摘した。「協調介入で大事なのはメッセージ性だが、中銀の影が薄いため、あまり強いメッセージとなっていない」と語った。

米政府が7月末の協調介入に応じた背景には「シンボリックな行動をとることで、暗に『日本はしっかりやれ』と、政策に注文を付けているのだろう」と指摘。日銀に対し、利上げペースを速めるよう促す意味合いがあったとの見方を示した。

日銀は、少なくとも1.5%程度まで早期に利上げする必要性を認識している可能性が高いとし「9月に利上げしないとマーケットは梯子を外されたと、大騒ぎになるだろう」と語った。ただ、「これだけ実質金利が低いのは異常」で、「1、2回の利上げでは、今の円安の流れは変わらないだろう」と述べた。

円安トレンドが反転する条件には、1)イラン情勢の沈静化に伴う原油下落、2)米経済の減速を受けた米利上げ観測の後退――という2つの要素を挙げた。

篠原氏は、世界金融危機前後の2007年から2年間、財務官を務めた。退官後の10年から国際通貨基金(IMF)の副専務理事を5年間務め、100年に1度とされる金融危機の事後処理を担った過去を持つ。

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