Olivia Le Poidevin
[ジュネーブ 25日 ロイター] - 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は25日公表した報告書で、ミャンマーの人権状況が近年で最も悪化し、イスラム教徒少数民族ロヒンギャに対する広範な人権侵害や、違法なレアアース(希土類)採掘を背景とする闇経済の拡大が民間人の苦境を一段と深刻にしていると指摘した。
報告書は2025年6月から26年5月までを対象とし、終わりの見えない紛争や軍の暴力、さらに「紛争経済」の拡大が市民に深刻な被害を与えていると分析。ミャンマー軍と、西部ラカイン州の大部分を支配する少数民族武装勢力「アラカン軍」の双方が、ロヒンギャ住民に対して広範かつ組織的な人権侵害を行っていて、殺害、拷問、強制徴兵、強制労働、恣意的拘束、強制移住などが確認されたとしている。ミャンマー軍とアラカン軍双方ともロイターのコメント要請には回答していない。
17年の大規模なロヒンギャ難民流出から9年が経過したが、21年のクーデター以降も迫害が続いており、ロヒンギャは依然として組織的な差別にさらされていると国連は指摘した。
報告書によると、軍はクーデターから5年以上が過ぎた現在も空爆や放火、人道支援の制限を通じて住民に恐怖を与え、支配を維持。21年以降に少なくとも8075人の民間人が死亡し、このうち女性は1774人、子どもは1074人だった。国連は実際の犠牲者数はもっと多い可能性が高いとしている。
国内避難民は360万人に増加し、1240万人が深刻な食料不足に直面しているほか、約40万人の母親と子どもが急性栄養失調に苦しんでいるという。
ラカイン州北部では、アラカン軍がロヒンギャ住民を対象に恣意的拘束や拷問、性的暴力、強制労働、土地収奪を行ったと国連は非難した。避難したロヒンギャの帰還を妨げる一方で、非ロヒンギャ住民を同地域に再定住させていたとされる。
また報告書は、北部カチン州とシャン州で違法なレアアース採掘が急速に拡大していることにも警鐘を鳴らした。法の支配の崩壊によって違法産業が成長し、紛争資金の供給源となっている。
国連によると、レアアース取引額は23年に推計14億ドルでピークに達し、その大半が中国市場向けだった。採掘に伴う有害物質の流出により、河川や農地の汚染が進み、地域住民の流産や慢性疾患の増加につながっているという。
さらに汚染はタイへ流れる河川にも及んでおり、水質検査ではヒ素、鉛、水銀、マンガンの濃度上昇が確認された。