8月17日、習近平(シー・チンピン)国家主席は、2022年に死去した江沢民(チアン・ツォーミン)元中国共産党総書記・国家主席の生誕100周年を記念する演説を行った。予想どおり、その内容は江を称賛するものだった。
だが、この演説は単なる追悼にとどまらなかった。むしろ、中国共産党特有の、歴代指導者の歴史的物語を利用し、「過去を現在に役立てる」傾向を如実に示していた。
習は江が残した功績を、17年10月の第19回党大会で自らが提唱した「中国の特色ある社会主義の新時代」の前提とする解釈を展開した。その中で江は、習の「新時代」と異なる道を代表する存在でも、過ぎ去った「自由化」時代の名残でもなく。むしろ「新時代」の歴史的な土台を築いた存在となっている。
習が作り上げた江のレガシーには4つの主な特徴がある。
第1に、江の在任期間を毛沢東から現在に至る「中国の特色ある社会主義」の発展に不可欠なリンクと位置付けた。
第2に、江が中国共産党の必要性を信じ、何よりも優先したことを最も重要な教訓とした。それを示すのが、「80年代末から90年代前半」の国内外の政治における「重大な試練」(89年の天安門事件と95~96年の台湾海峡危機)への江の対応だ。こうした難局に直面した江は「揺るぎなく」「四つの基本原則」を堅持し、「政財界の環境を整備」し、「外交闘争を展開」して、「国家の独立、尊厳、安全、安定を断固として守った」。
江はこの経験から「改革、開放、経済発展が進めば進むほど、党の指導力を強化しなければならない」という教訓を導き出した、と習は論じた。経済の近代化には党の団結、規律、政治的統制が必要だという習自身の理論の裏付けに江を先例として利用したのだ。