漫画翻訳では、日本語の言語化しづらいニュアンスや特有の表現をどう扱うのか。『北斗の拳』(原作・武論尊、作画・原哲夫、コアミックス)をフランス語に翻訳した白百合女子大学文学部のトリスタン・ブルネ准教授に本誌・深田莉映が聞いた。
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──翻訳を担当した経緯は?
2000年代に入るとフランスでは日本漫画の輸入が急拡大し、翻訳者が不足していた。大学で日本語を学んでいた私は、同級生のつてで歴史漫画『ナポレオン ─獅子の時代─』の翻訳に参加した。その後フリーランスで経験を積み、『北斗の拳』の翻訳を任されることになった。
──漫画翻訳の大きな壁は?
日本の漫画の特徴であり、時に絵の一部として重要な役割を担うオノマトペ(擬音・擬声・擬態語)だ。『北斗の拳』は翻訳者泣かせの表現が頻出する。死ぬ間際の敵の叫び声「あべし」「ひでぶ」など日本語でも特定の意味を持たない言葉をどう扱うかは悩みの種だった。
──どう攻略したのか。
翻訳の選択肢としては3つある。1つ目は、ローマ字表記でそのまま残す方法だ。読者に意味は伝わりづらいが、何回も目にするうちに「GURUGURUは回転だな」と自然に理解できるようになっていく。
2つ目は、オノマトペの形を放棄し、近い意味のフランス語に置き換える方法だ。例えば「ぐるぐる」は「回る回る」、「じーっ」は「見つめる」に変換する。
3つ目は、新しい言葉を創作する方法で最も難易度が高い。英語のオノマトペを借りることもある。
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