先週の土曜日、新しいアプリをダウンロードした。いろんな料理をオンラインで注文できるアプリだ。メニューをスクロールして激辛メキシカンを選び、注文ボタンを押して、あとは待つだけ……だが、いくら待っても来ない。ご不満? いや大満足だ。
インチキではない。嘘だと思うなら試してみるといい。こうした「買ったつもり」サービスの人気は急上昇中で、例えばFoodNeverComes(料理は絶対届きません)のサイトで「満足」ボタンを押した利用者は既に100万人を超えている(ご心配なく。どんなに高額の注文をしても料金は一切請求されない)。
時間の無駄と言うなかれ。こうしたアプリやサイトで疑似ショッピングを体験すると、実は私たちの脳内でドーパミンと呼ばれる化学物質の分泌が増え、ある種の達成感を得られるという。
お金をかけずに一定の満足感を味わえるのなら、悪い話ではなさそうだ。しかも、こうした疑似ショッピング体験の多くは無料だし、料理や商品を実際に作る手間も費用もかかっていない。
無料サイトなのに、なぜ「危険」なのか
ただし、手放しでは喜べない。こうした無料サイト(俗に「ドーパミンサイト」と呼ばれる)の大半は広告収入で運営されている。そして広告主は、あなたがネット上で何を閲覧したかを知っている。だから疑似ショッピングで注文したのと似たような商品の広告が、何度も送り付けられることになる。
これらは韓国で始まったが、今やそのものずばり「ドーパミンショップ」を名乗るサイトがあって、とんでもない品ぞろえを誇っている。もちろんカタログだけで実物はなし。いくら注文しても、代金を請求される心配はない。興味深いのは、このサイトを所有しているのがアメリカ企業だということ。どうやら、オンラインの疑似ショッピングは世界に拡散しているようだ。
念のために付言すれば、ドーパミンは神経伝達物質の一種で、「快楽ホルモン」と呼ばれることもある。そしてこの手の疑似ショッピングサイトはユーザーに、期待感(いいものを見つけた!)と選択感(自分で選んだぞ!)、そして充足感(ついに注文したぞ!)を与える。ただしリアルなショッピングと違って「消費体験」は伴わない。
疑似ギャンブルと同じ? いつか本物に手を出すことに
それでも実際にドーパミンの分泌が増えて満足感(快感)を得られるのなら、こうした行為は常習化しかねない。
オンラインの疑似ショッピングはまだ新しい現象なので、その心理的な影響に関する学術的な研究は皆無に等しい。だが似たような現象に関する調査報告はある。
例えば、実際にお金を賭けることなくオンラインでギャンブルを疑似体験できる「ソーシャルカジノ」と呼ばれるアプリ。これの利用者409人について追跡調査した2014年の研究によると、半年後には利用者の26%が本物のオンラインギャンブルに手を染めていたという。
危ない、危ない。オンラインで疑似ショッピングを楽しめば、欲しい商品の広告が次々に送り付けられてくる。誘惑に負けて、本当に買ってしまうのは時間の問題かも。
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Gary Mortimer, Professor of Marketing and Consumer Behaviour, Queensland University of Technology
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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