ただし、専門家らは、宇宙放射線が死亡の直接原因だと証明されたわけではないと強調する。

今回のデータには、累積飛行時間、乗務歴、実測された被ばく線量、飛行ルート、高度、睡眠リズムの乱れ、紫外線への曝露、生活習慣といった重要要素が含まれていない。グッドイヤーは「こうした変数がない以上、相関関係をそのまま因果関係とはみなせない」と指摘する。

内科・緩和ケア専門医のブライアン・ハニーマンも、単にがんが見つかった数ではなく、がんによる死亡に着目した研究である点に注意が必要だと述べる。

ハニーマンによれば、乗務員は定期検診を受けており全般的に健康な傾向があることも分析を複雑にする要因となる。電離放射線に発がん性があり高高度で被ばくしやすいとしても、それだけで因果関係が立証されたことにはならないという。

臨床科学者のアイーシャ・ブライアント医師は、この結果を「乗務員に対する正当な労働衛生上の警告」と位置づける。

本研究によると、放射線関連のがんで死亡する可能性は、客室乗務員で約1.5倍、パイロットで約1.36倍高かった。だがブライアントは、宇宙放射線は要因の一部にすぎない可能性があると見る。職業上の被ばくに加え、両職種とも体内時計の大きな乱れを抱えており、パイロットは操縦席の窓越しに紫外線A波(UVA)を浴びるリスクもあるからだ。また、個人の実測被ばくデータがない点も本研究の限界だという。

専門家らは、直ちに検診の基準を変えるのではなく、まずは職業上の被ばく管理を強化すべきだと口を揃える。

ブライアントは、年齢やリスクに応じた現行ガイドライン以上の過度な検査を求めるのではなく、累積被ばく線量の追跡や、フライト歴とがんの関係を探る長期的な調査こそが必要だと主張する。

ハニーマンもこれに賛同し、被ばく量の低減と測定を優先すべきだと提言する。米疾病対策センター(CDC)は長距離便や極地ルートでの宇宙線被ばく量の増加を指摘しており、連邦航空局(FAA)もフライトごとの推定値を提供している。

長距離や極地を飛ぶ乗務員を中心に、雇用主や規制当局はキャリア全体を通じた累積被ばく線量の追跡・管理を本格的に検討すべき時期に来ているといえそうだ。

Reference

Patel, V. R., Liu, M., & Jena, A. B. (2026). Cancer-Related Mortality Among US Pilots and Flight Attendants. JAMA Internal Medicine. https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2852504
 

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