7月28日に熊本で大規模な地震が発生した。直近の報道によると死亡者は39人で、3000人以上が避難所生活を強いられているという。
高市首相が避難所を視察した動画が首相官邸のSNSで公表されたのだが、体育館内に段ボールベッドが整然と並べられ、エアコンも効いていて、避難者からは「至れり尽くせり」「ありがたい」という声が寄せられていた。これを見て、「いざとなれば、公営の避難所に駆け込めば安心」と胸をなでおろした人もいるだろう。
しかし、ごく一部の恵まれた避難所という印象はぬぐえない。多くの避難所にエアコンはなく、雑魚寝という有様で、テントが整然と並んだ諸外国の避難所と対比した写真がSNSで拡散されている。避難所での生活のストレスは相当なもので、体調を崩したり、病気を患ったり、死に至ることもある。いわゆる「災害関連死」だ。
自治体などがまとめる災害の死亡者数統計には災害関連死も含まれる。大地震が起きた1995年と2011年の地震死亡者数を、性別・年齢層別に整理すると<表1>のようになる。

阪神大震災と東日本大震災の死亡者数の合算だ。一番下を見ると男性が1万820人、女性が1万3343人で女性のほうが多い。年少人口や生産年齢人口でも「男性<女性」であるのは、ベース人口の性差では説明がつかない。地震による死亡率は、男性より女性で高いとみていい。
木登りや泳ぎなど、逃げる手段は男性のほうが長けていることはあるだろう。これは身体能力の違いだが、社会における性役割慣行も影を落とす。地震発生時に、自宅で家事や育児・介護をしていて逃げ遅れ、命を落としたのは女性のほうが多いと考えられる。