死亡者数には、地震による直接的な受傷ではない「関連死」も含まれる。避難所生活でのストレスによる死亡も含まれ、そうした関連死が男性より女性で多いであろうことは容易に想像がつく。女性にとって、避難所はストレスが多い場だ。女性用トイレは男性用の3倍必要というのが国際標準だが、これを満たす避難所はほぼ皆無だ。更衣や入浴等の気苦労も多い。生理用品等のニーズも、男性の運営責任者には言い出しにくい。雑魚寝で、性被害の危険とも隣り合わせだ。
ざっと考えただけでも、地震死亡率の男女差の要因はこれだけある。この中で手をつけやすいのは、避難所の在り方の見直しだ。災害時の避難所生活のニーズには性差があり、それに応えるには、防災・減災行政に携わる人に女性が増える必要がある。各自治体には、地域防災計画の策定・実施を担う地域防災会議が置かれているが、委員の女性比率は低い。市町村の防災会議委員は4万6092人だが、そのうち女性は5528人しかいない(2025年度)。わずか12%だ。

地域差もあるが、最も高い兵庫県でも2割に届かない。女性がほんの数パーセントしかおらず、避難所の運営方針も含めた防災計画の策定が、ほぼ男性だけでなされている県もある。これでは、被災者のニーズの性差を反映した計画の立案は難しい。
災害の直接的・間接的な影響で命を落とす率には性差があり、それは偶然ではなくジェンダーによる部分が大きい。命のジェンダー差は、データではっきりと分かる。防災・減災の政策の立案に際しては、ジェンダーの視点が欠かせない。
なすべきは、政策を決める場に立つ女性を増やすことだ。普段から、偏狭な性役割分業をなくしておくことも必要だ。
<資料>
厚労省「人口動態調査」
内閣府「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況」(2025年度)