Gertrude Chavez-Dreyfuss Ankur Banerjee Harry Robertson

[ニューヨーク/シンガポール/ロンドン 18日 ロイター] - 米国債の入札で利回りが高止まりしていることで、米政府が債務を借り換えたり、資金調達をしたりする際のコストが増加している。これは投資家が米国債の引き受けにより高いリターンを要求している表れであり、米国債を購入し続ける意欲があるのかどうかに疑問符が付いている。

アナリストらによると、投資家は米政府が今後数年間に調達しなければならない巨額の資金に懸念を抱いている。財務省によれば、債務残高は過去最高となる40兆ドルに迫り、財政赤字も高水準のままだ。

南部ノースカロライナ州シャーロットに拠点を置くクレジットサイツでマクロ・投資適格債戦略責任者を務めるザカリー・グリフィス氏は「市場環境全体が、財務省に対して金利の上乗せを明らかに求めている」とし、「国内総生産(GDP)比で5―6%の財政赤字が続けば、長期的により大きな問題となる。その一因はとりわけ財政やインフレのリスクに対する上乗せ金利にある」と指摘した。

先週2回実施された米国債の入札は、利回りが注目を集めた。10年物国債の入札では利回りが4.683%と19年ぶりの高水準を付け、30年物国債の入札では5.216%で25年ぶりの高さを記録した。

一方、米国債の需要は堅調に推移している。利回りを押し上げている要因、すなわちインフレ懸念、財政赤字拡大、そして国債供給量の増加は、投資家が米国債を保有することで得られるリターンを押し上げている。

東部ペンシルベニア州のブリンマー・トラストの債券部門ディレクター、ジム・バーンズ氏は「米国債の需要は引き続き存在しており、問題はどの利回りであればという一点に尽きる」とした上で、「10年物国債利回りが5%弱、30年物国債利回りが数十年ぶりの高水準にある状況は、リスクフリーの米国債にさらなる買い手を呼び込むだろう」との見方を示した。

財務省はコメントの要請に応じなかった。

<利回り上昇>

今年に入ってからの米国の巨額借り入れ、堅調な経済成長、根強いインフレ、そして政府の借り入れに対する不確実性への対応で投資家が苦慮する中で、長期国債の利回りは上昇している。

このため投資家らは、国債の継続的な発行が資金獲得競争を激化させると予想している。政府は一時的な資金不足を補うというよりも、構造的に巨額の財政赤字と借り入れの必要性に直面しているとみなされるようになってきた。

ピクテ・ウェルス・マネジメントの債券戦略責任者ローレリーヌ・ルノーシャトラン氏は「懸念される傾向がいくつか見受けられる」とし、巨額の財政赤字などによってタームプレミアム(期間プレミアム)が上昇していることを挙げた。期間プレミアムとは、投資家が長期債を保有する場合に要求する上乗せ金利を指す。同氏は、このような状況を踏まえると財務省は、利回り曲線が短期側に偏った国債発行を迫られると指摘した。

財政赤字の拡大と利払い費の増加を背景に、米国の資金調達需要は急増している。財務省が発行を増やしている短期国債は、マネー・マーケット・ファンド(MMF)によって迅速に吸収されている。

最近の30年物国債の入札が特に注目を集めたのは、長期国債が将来のインフレ、財政の持続可能性および国債発行への懸念に、特に敏感に反応するためだ。

シンガポールのOCBC銀行の為替・金利戦略責任者フランシス・チャン氏は、30年物国債の入札結果は「長期債に対する投資家の慎重姿勢」を反映していると話す。

市場は先週の10年物国債の入札でも、同じようなシグナルを送った。外国の中央銀行や機関投資家などの間接入札者の参加は旺盛だったものの、4.7%に迫る利回りを付けることを強いられた。

<買い控えはなし>

米国債の長期債利回りが数十年ぶりの高水準の近辺で推移しているにもかかわらず、需要は堅調に推移し、投資家の撤退が進んでいるわけではないことを示唆する。長期負債を抱える年金基金や保険会社、あるいは資産運用会社にとっては、30年物のリスクフリー資産で5.3%の利回りを得られることは魅力的な可能性がある。

ハミルトン・キャピタル・パートナーズのアロンソ・ムニョス最高投資責任者(CIO)は、米国債購入者の多くは他市場での投資機会に左右されず、政府債を保有することを義務付ける運用指針に縛られていると解説する。

一方、拡大する米国の財政赤字に資金を提供することに外国の買い手が消極的になるのではないかという懸念が繰り返し浮上しており、外国からの需要は引き続き投資家らの注目の的だ。先週の入札結果からは、需要が急激に後退する兆候は見られなかった。

アナリストらは米国の利回りが日本といった多くの先進国市場を大幅に上回る高水準にあり、これが米国債を保有するインセンティブとなっていると指摘した。

またアナリストらは入札結果について、財政やインフレのリスクにより高い利回りを要求する投資家である「債券自警団」が、米国債を積極的に売却していることを示唆するものではなかったと説明する。むしろ市場が引き続き順調に機能している一方で、米政府の資金調達コストが見直されたことを示唆しているとした。

香港のL&Gアセット・マネジメントのアジア投資戦略責任者ベン・ベネット氏は「投資家は根強いインフレと巨額の財政赤字を補うため、より高い利回りを求めている」と語った。

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